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“FPGAaaS”は業界に浸透するのか?(前編)FPGAベンダーはどう考える?(1/2 ページ)

「FPGAaaS(FPGA-as-a-Service:サービスとしてのFPGA)」のコンセプトが登場している。FPGAaaSは、FPGA業界にどのような影響を与えるのだろうか。

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“サービスとしてのFPGA”

 クラウドサービスは現在、あらゆるビジネスにおいて実質的に変化しつつある。

 大抵の場合、ハードウェアメーカーがユーザーに対して、具体的な製品という形でハードウェアを販売するのではなく、かなり安価なサービスとして製品を提供することを強いられている状況にある。

 その一例として、「CaaS(Car-as-a-Service:サービスとしての自動車)」が挙げられる。「自動車の走行マイル」をベースとするコンセプトの登場により、自動車メーカーがこれまで手掛けてきた「販売台数に基づく売上高」をベースとするモデルが根本的に変化している。これは自動車業界にとって、脅威であると同時にチャンスでもあることから、もはや見て見ぬふりをすることはできない状況だといえる。

 その次なるターゲットは、半導体業界だ。現在、データセンター向けのクラウドアプリケーションとして、「FPGAaaS(FPGA-as-a-Service:サービスとしてのFPGA)」が台頭している。これが実際に始動するとなると、IntelやXilinxなどのFPGAベンダー各社は、どのような対応を見せるのだろうか。


出典:Intel

 Intelは2017年10月12日(米国時間)に、同社のFPGAが、Alibaba Groupのクラウドコンピューティング部門であるAlibaba Cloudの「AaaS(Acceleration-as-a-Service:サービスとしてのアクセラレーション)」に採用されると発表したばかりだ。

 また、PLDA Groupのスピンオフ企業であるAccelizeは、“as-a-Service”ビジネスモデルに注力しており、クラウド上のFPGAaaSに向けたソリューションを開発したと発表している。これにより、AmazonやAlibabaなどのクラウドサービスプロバイダーは、FPGAでコンピュートインスタンスを拡大させることが可能になるため、ユーザーのアプリケーション向けに専用のハードウェアアクセラレーションを提供できるようになる。

 フランスのAix-en-Provence(エクサンプロバンス)に拠点を置くAccelizeは、2017年10月17日(フランス時間)に、Intelとの協業により、主要なディベロッパー各社向けに、FPGAプログラミングの簡素化を実現する予定だと発表した。両社は今後、データセンター向けのFPGAについて、FPGAの使用回数に応じて支払うシステムの構築に関心を持ちつつ、FPGAプログラミングの専門知識が不十分だというユーザー各社に対し、サポートを提供してきたい考えだという。

 Accelizeは、「具体的には、Accelizeのソリューションに、IntelのFPGA統合CPU『Xeon』向けのアクセラレーションスタックと、FPGA『Arria 10GX』搭載のプログラマブルアクセラレーションカード(PAC)とを統合していく予定だ。これにより、Intelのエンタープライズ向けFPGAや、FPGAアクセラレータ機能の開発用クラウドなどのユーザーエクスペリエンスを高めることができる」と述べている。

 業界アナリストたちの見解によると、FPGAaaSは今のところ、AmazonやAlibaba、Baidu、Microsoftなどのような、自社専用の巨大データセンターを保有するクラウドサービスプロバイダー各社の中では、まだ市場開発の初期段階にあるという。Intelは現在、Xilinxに追い付こうと必死に取り組みを進めているようだ。

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