Xilinx、FPGA/SoCからソフト企業へ:機械学習にフォーカス(2/2 ページ)
Xilinx(ザイリンクス)は、東京都内で「ザイリンクス開発者フォーラム 2017(XDF 2017)」を開催。クラウドベースアプリケーションのFPGA開発にフォーカスし、その効果や開発ツールの最新動向などを紹介した。
5年以内に潜在ユーザーを5倍に
同社は事業展開の中で、「これから5年以内にポテンシャルユーザーを5倍にする」という目標を掲げている。同社の開発環境を利用するFPGA技術者は現在、約5万人いるという。「SDSoC」や「SDAccel」は、ソフトウェア技術者、アプリケーション技術者まで利用することが可能なFPGA開発環境であり、その対象となる規模は25万人以上になると試算している。これから期待する領域としては、クラウドや組み込みシステムにおける機械学習の用途を挙げた。
最後に、FPGAを用いたクラウドサービスにおいて、機械学習などのコンピューティングワークロードを高速化したユーザー事例を簡単に紹介した。画像の分類やスマートシティーの監視システムにおける物体検出では、GPUとの比較で5倍のパフォーマンスが得られた。ゲノム解析においては、従来30時間以上要していた解析時間がわずか20分に短縮できたという。
ビデオストリーミングにおける同社の強みも紹介した。オリンピックなどのライブイベントではリアルタイムでエンコード、デコードをする必要がある。また、配信先によって映像品質は4K映像からスマートフォン向け映像まで、その要求は多岐にわたる。中継が終了すれば、FPGAの処理能力を他の処理に振り分けることも必要となる。
このような場合、FPGAをリアルタイムに再構成する必要がある。そこで強みとなるのは同社製品がサポートしている「パーシャルリコンフィギュレーション」機能である。必要となる部分の回路ブロックのみを書き換えるだけで済み、ミリ秒単位で瞬時に動的再構成が可能だという。
EC2 F1インスタンスに16nm UltraScale+FPGA採用
続いて登壇したAWSのDavid Pellerin氏は、AWSクラウドの特長や導入効果、アプリケーション開発などについて説明した。AWSは2016年12月、EC2の新たなF1インスタンスに、Xilinxの16nm UltraScale+FPGAを採用すると発表している。
F1インスタンスには、FPGA開発者用AMI(Amazon Machine Image)とハードウェア開発キット(HDK)が含まれており、ハードウェアアクセラレーションコードの開発やシミュレーション、デバッグなどが行える。FPGAの設計が完了した後、その情報をAFI(Amazon FPGA Image)として登録しておけば、数クリックの操作で、利用するF1インスタンスにカスタムFPGAを展開できるという。
F1インスタンスには、2つの異なるサイズを用意した。16nm UltraScale+FPGAを1個搭載した「f1.2xlarge」と8個搭載の「f1.16xlarge」である。
最後に、金融計算やゲノムシーケンス、画像/動画処理、ビッグデータ/機械学習などの用途におけるF1の活用事例を紹介。FPGAパートナー企業とAWSユーザーにおける連携の重要性を訴え、講演を締めくくった。
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