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IoTサービスを実現するためのスキルとは?JASA発IoT通信(5)(3/3 ページ)

今回は、ドローンを用いたゴルフ場でのキャディビジネスを例に挙げながら、IoTを実現するために必要なスキルは、どのようなものかを考えていく。

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IoTビジネスキャンバスとは

 図5にビジネスモデルキャンバスを示す。


図5:ビジネスモデルキャンバス

 ビジネスモデルキャンバスで定義するビジネスで必要な9つの構成要素(チャネル、顧客セグメント、パートナーとの関係、主な活動、主なリソース、顧客にもたらす価値、顧客との関係、コスト、収入の流れ)とIoTキャンバスで表現できるサービス提供者(利害関係者)と利用者の間で発生するデータの流れ処理の階層構造を同時に示すことができる。

 この「IoTビジネスキャンバス」により、実現の可能性と事業化(投資の回収モデル)を合わせて考察できる。

 図6にIoTビジネスキャンバスへの拡張を示す。図7に、完成したビジネスモデルキャンバスを示す。


図6:IoTビジネスキャンバスへの拡張

図7:IoTビジネスキャンバスの適用 (クリックで拡大)

 図8に、ビジネスモデルキャンバスにドローンサービスの事例を示す。


図8:ドローンキャディサービス事例 (クリックで拡大)

 この事例では、ドローンキャディのサービスを構成要素としてビジネス面から見た、チャネル、顧客セグメント、パートナーとの関係、主な活動、主なリソース、顧客にもたらす価値、顧客との関係、コスト、収入の流れを示せる。同時に、技術面から見たサービス提供者と利用者の間で発生するデータの流れ(センサー情報)処理(距離の計算など)の階層構造も示すことができる。このことは次のような効果を得ることができる。漠然としたビジネスのアイディアを具体性な構想へと進められ、漏れ抜けのない整理が可能になる。そして、事業部長などのビジネス責任者と技術部長などの技術責任者が、構想段階から一緒に事業とその実現性を議論することが可能となり、結果的に早い段階からシミュレーションして問題を解決できるようになる。

 次の段階では、具体的にどの部分を自社開発し、どの部分をパートナーやサービス業者に担当してもらうか、などの議論を進め、予算化スケジュールを立てることになる。

おわりに

 IoTビジネスキャンバスを、ぜひ活用して、フィードバックをいただきたい。

 IoTサービスを実現するためには分散型モデルベースに必要な技術スキルを定義するという考え方で進めてきたが、実際にはビジネス面からのアプローチがなければ全体を見渡すことができないことから、IoTビジネスキャンバスを考案した。

 IoTビジネスキャンバスでは、技術知識だけでなく顧客のことをよく理解して、その価値提供から利益を出すといったビジネス面からもIoTサービスを示すことができる。このように総合的に俯瞰して検討することや、部分的には自社開発だけでなく他社で完成された製品を用いて組み合わせるなど、パートナーと一緒に新たな価値を創り出すのかなどを検討することになる。

 そこで、新たにIoTを実現する役割として「デジタルプロデューサー」というキャリアを検討している。事業分野の知識とデジタル化による顧客の価値創造ができる人材として、このキャリアに必要なスキル定義を行う予定である。これまでは、このようなポジションの定義と理解がないため、新たなビジネスを創り出す立場にいながら営業またはマーケティング部門に所属して不明確な立場で仕事をしていたのではないかと思われる。IoTの環境が変わる中で、人材が力を発揮できる仕組みとして、この活動に興味を持っていただけたら幸いである。

筆者プロフィール

有馬仁志(ありま・ひとし)/有馬マネジメントデザイン社長

 1982年より国内機器メーカーで産業用ロボット開発や組込みOS(iTRON)開発を担当、WindRiverSytems社、ISI社の上級管理職、Montavista Software Japan社、dSPACE Japan株式会社の代表取締役社長を経て2015年5月に技術・経営のコンサルティングを行う有馬マネジメントデザイン株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。

 その他の活動として、一般社団法人スキルマネージメント協会副幹事長、横浜スマートコミュニティ代表、一般社団法人スマートシステム検証技術会理事長、一般社団法人電気自動車普及協議会理事、長崎総合科学大学大学院新技術創生研究所客員教授、九州工業大学情報工学部客員教授、東京大学大学院情報理工学系研究科非常勤講師を務める。


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