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Broadcom、Qualcommを1000億ドルで買収交渉か?米メディアが報道

米メディアが、BroadcomがQualcommに買収を持ちかけていると報じた。ただし、複数のアナリストは懐疑的な見方を示している。

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1000億米ドルで買収を持ちかける?

 複数の関係筋からの情報として報じられたところによると、米国の半導体メーカーであるBroadcomは、同社より規模の大きいライバル企業のQualcommを1000億米ドル以上の価格で買収する計画だという。実現すれば、半導体業界では過去最大規模の買収になる。

 ロイター通信は、Broadcomは携帯電話機向けチップの最大手メーカーであるQualcommを1株あたり70〜80米ドル(合計すると1030億米ドル以上に相当)で買収することを検討していると報じた。情報筋がロイターに対し語ったところによると、Qualcommは現時点では、この買収を承諾していないという。

 この買収は、半導体業界にとって前例のない大型買収となる。Qualcomm自身も、1年前に欧州の半導体メーカーであるNXP Semiconductorsの買収を発表し、同契約の締結を進めている。この契約は、半導体企業の買収としては過去最大規模である。

 米国の市場調査会社であるIC InsightsのRob Lineback氏によると、QualcommがNXP、Broadcomと統合すれば、半導体の総売上高は400億米ドルに上り、TSMCを抜いてSamsung ElectronicsとIntelに次ぐ世界第3位の半導体企業となるという。この他にもMarvell Technology Group がCaviumの買収に向けて協議を進めていると報じられている。もし、これらの買収が全て成立した場合、2017年の半導体企業の合併は過去最大となる1200億米ドルに上ると予想される。

規制当局の承認を得るのは相当に難しい

 EE Timesがインタビューした複数のアナリストは、「BroadcomによるQualcommの買収に意味があるのか、規制当局に承認されるのかについては疑わしい」という見解を示した。

 米国の市場調査会社であるTirias Researchで主席アナリストを務めるJim McGregor氏は、「買収を実行することは可能だが、NXPとの契約が審査中である現段階では難しいだろう」と述べている。McGregor氏自身もBroadcomによるQualcommの買収には「大いに疑問を持っている」として、「規制当局による厳しい審査が予想される」と述べている。

 Lineback氏は、「Qualcommの買収にNXPが含まれるのであれば、世界中の規制当局がWi-FiやBluetooth、その他のRFチップを含むいくつかの製品セグメントと組み込み処理セグメントを厳しく調査すると予想される」と述べている。

 米国のコンサルティング会社であるIBS(International Business Strategies)のCEO(最高経営責任者)を務めるHandel Jones氏は、「Broadcomが最も興味を持っているのはNXPだと思われる。BroadcomとNXPの間には素晴らしいシナジー効果が期待される」と述べている。

 BroadcomのCEOであるHock Tan氏は、大規模な企業買収に精力的に取り組んできた。Broadcom自身も2016年に、同社より規模の小さいAvago Technologiesによって370億米ドルで買収されている。Tan氏はAvagoのCEOで、この取引をまとめた人物である。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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