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農業の6次産業化を支える土壌センサーラピスが製品化(1/2 ページ)

ラピスセミコンダクタは2017年11月14日、土の中の環境をセンシングする土壌センサーユニットを製品化したと発表した。土の中にセンサーを直接埋め込み、土壌のpH(水素イオン濃度指数)や肥沃(ひよく)度、温度、含水率が測定できる。

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2年間の実証実験を経て製品化

 ロームグループのラピスセミコンダクタは2017年11月14日、土の中の環境をセンシングする土壌センサーユニット「MJ1011」を製品化し、2018年1月末からサンプル出荷を開始すると発表した。リアルタイムで土壌のpH(水素イオン濃度指数)や肥沃(ひよく)度、温度、含水率を計測できる。


土壌センサーユニット「MJ1011」

 ラピスセミコンダクタは、MJ1011の主要デバイスである土壌センサーを2015年10月に開発。同センサーは半導体技術を用い1チップでpHや肥沃度、温度、含水率を検知できるセンサーで、「世界で初めて、土の中に直接埋め込むことのできるセンサー」(同社)として開発された。その後、ラピスセミコンダクタでは、さまざまな農業事業者などと連携し、農地での実証実験を進めてきた(関連記事:土に直接埋め込むセンサーが農業のIoT化を支える)。


農業分野では、「6次産業化」などにより環境情報取得が重要になってきている (クリックで拡大) 出典:ラピスセミコンダクタ

 「1次産業である農業分野では、2次産業の工業、3次産業のサービス業の要素を掛け合わせて“6次産業化”が進んでいる。そうした中で、農地のICT化が進められ、さまざまな農地環境情報データを取得する試みが行われている。ただ、環境情報のリアルタイム取得は、温度や湿度、照度など大気中での計測データに限られた。土の中のデータは、サンプルを採取し、評価施設などで分析するというスタイルで、時間や手間がかかった。そうした中で、2年前に開発した土壌センサーに対し、多くの農家や企業から多くの引き合いがあり、実証実験の結果を踏まえ、今回、製品化するに至った」という。

土壌センサーに低消費電力マイコン、AFEを組み合わせユニット化

 製品化に際し、ラピスセミコンダクタでは、土壌センサーに加え、低消費電力を特長にする16ビットマイコン「ML620Q504H」やアナログフロントエンド(AFE)チップなどラピスセミコンダクタ独自の半導体製品と組み合わせたセンサーユニットに仕上げた。


土壌センサーユニット「MJ1011」の概要 (クリックで拡大) 出典:ラピスセミコンダクタ

 同センサーユニットのサイズは、122×42×42mmで、環境耐性防水規格「IP67」に対応し、土の中だけでなく水中での測定が可能で水田でも使用できる。「1年おきの交換を勧めている」というセンサーチップ部は、取り外し交換可能な構造を用いた。インタフェースは、デジタルインタフェースUARTを採用し、コネクター形状も各種データロガーなどで使われる汎用タイプとなっている。

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