農業の6次産業化を支える土壌センサー:ラピスが製品化(2/2 ページ)
ラピスセミコンダクタは2017年11月14日、土の中の環境をセンシングする土壌センサーユニットを製品化したと発表した。土の中にセンサーを直接埋め込み、土壌のpH(水素イオン濃度指数)や肥沃(ひよく)度、温度、含水率が測定できる。
pHはISFETを用いて測定
pH測定は、水素イオン濃度の多い、少ないによって変わるゲート電位を酸性度に変換する仕組みを持つイオン感応膜を持つFET「ISFET(Ion Sensitive Field Effect Transistor)」で行い、測定精度はpH±0.2となる。肥沃度と含水率は、2つの電極で土(または水)の電気伝導度(EC)を測定し割り出す。ECの測定精度は±5%、温度測定精度は±0.5℃となっている。
「低消費電力マイコンなどを使用し、土壌センサーユニットとしての消費電流を計測時20mA、待機時27μAに抑えた点も特長」(同社)とし、効率的に太陽電池やバッテリーでも動作できる低消費電力設計になっている。
エンドポイントやゲートウェイなども提供へ
「実証実験などを通じ、特に、肥沃度をリアルタイムで計測したいというニーズが多い。イチゴやトマトの農地は肥沃度が頻繁に変化し、肥料を足すタイミングが重要になるため、土壌センサーで監視することにより、効率良く、かつ、適切に肥料を与えることが可能になると期待される。他のデータについても、蓄積していくことにより、生産性向上や品質改善に役立つものとして、期待されている」(同社)とする。
なお、ラピスセミコンダクタでは、センサーユニットと接続するエンドポイントやコンセントレーター、ゲートウェイなども開発し、無線を利用した農地監視システム(フィールドスキャンシステム)を構築できる製品ラインアップも整えていく方針としている。
ラピスセミコンダクタは2017年11月15〜17日にパシフィコ横浜(横浜市)で開催される展示会「組み込み総合技術展/Embedded Technology 2017」でMJ1011の展示を実施する。
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