SiCインゴットのスライス加工、完全自動化へ:切断加工時間はわずか17分
ディスコは、「SEMICON Japan 2017」で、KABRAプロセスによるSiCインゴッドスライス工程を全自動化した装置などを実機展示した。
スループットは約50%向上、素材ロスも大きく削減
ディスコは、「SEMICON Japan 2017」(2017年12月13〜15日、東京ビッグサイト)において、展示スペースとしては最大級となるブースで、参考出展や新製品を中心に精密加工装置および、周辺装置の実機展示を行った。
注目を集めた参考出展の1つが、SiC(炭化ケイ素)ウエハーの生産効率を向上した「KABRA!zen」である。同社は、SiCインゴッドの上面からレーザーを連続的に照射して、ウエハーを剥離するスライス加工技術「KABRA(カブラ)」プロセスを開発し、この技術を採用した装置をいち早く実用化した(関連記事:“他にないスライス技術”がSiCの生産効率を4倍へ)。ただ、従来装置はレーザー照射やウエハー剥離、指定仕上げ研磨、インゴッド上面研磨などの工程間で、作業者が介在しワークの置き換えなどを行う必要があった。
2018年中のテスト出荷を目指しているKABRA!zenは、KABRAプロセスにおける一連の工程搬送を完全自動化したシステムである。これによって、スループットが約50%向上し、工程搬送を行う作業者も不要となる。
KABRA!zenは、切断加工(レーザー照射+剥離)時間が17分(6インチウエハーの場合)と極めて短く、1枚当たりの素材ロスは約100μmと少ない。「従来のダイヤモンドワイヤソーとラップ研削による加工に比べて、大幅な加工時間の短縮と素材ロスの低減が可能になる」(説明員)という。
メモリ後工程の量産ラインに向けた300mmウエハー対応フルオートマチックダイシングソー「DFD6561」も紹介した。全てのメンテナンスを装置の前面から行えるようにしたため、左右の装置間隔を最小限に抑えて設置することができる。従来モデル「DFD6362」に比べると、フットプリントを16%節減することが可能だという。この他、高い剛性のスピンドルを採用することで加工の安定性を向上するとともに、ブレード摩耗量を約6秒で高精度に測定できるシステムも採用した。
さらに、ウエハー加工処理を効率よく行う「並列加工搬送システム」のコンセプト提案とシステム展示を行った。通常は1個のウエハーカセットに対して1台の装置で加工するという。同社が新たに提案する並列加工搬送システムは、1個のカセットに格納された複数のウエハーを1枚ずつ取り出し、加工装置へ搬送するための専用トレイに収納する。これをコンベヤーでそれぞれ加工装置に搬送し、加工後に再びカセットに戻す作業を自動で行う。
この結果、1個のカセットに収納された多くのウエハーを、複数台のダイシングソーで並列加工することができるなど、カセット単位でのスループットを向上することができるという。
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