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インタビュー

量産車向けは絶対に明け渡さない――ルネサス呉CEO特集「Connect 2018」(2/4 ページ)

ルネサス エレクトロニクス社長兼CEOの呉文精氏は2017年12月25日、インタビューに応じ、投資方針や自動車向け事業でのルネサスの事業姿勢、2018年の経営方針などについて語った。

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Intersilとの相乗効果

――Intersilとの相乗効果はどのように発揮できていますか?

呉氏 例えば、半導体設計ツールの費用などは、買収に伴い、ボリュームディスカウントをツールベンダー側に要求し、買収前よりも支払額を抑制できている点などが、クイックにシナジーとして出てきている。

 現状、進めているのが、オフィスの統合。東京は既に完了し、米国シリコンバレーの拠点についても2018年2月に実施する予定で、主要拠点の統合は完了する見込みで、費用面での相乗効果は発揮できていく。

 売り上げへの貢献は、少し先になるが、ルネサスとIntersilの両社の製品が搭載されているリファレンスボードも数多く製品化し、顧客からも良い反応を得ている。

株主の理解得て、設備投資やM&A、研究開発投資へ

――2017年6月には、産業革新機構など大株主が所有する一部株式の公募売り出し(PO)がありました。

呉氏 グローバルに半導体関連株式を戦略的に長期的視点で保有する投資家に絞って、勧誘を行ったのだが、非常に強い需要をいただき、その後の株価も強めに推移している。

 これまでルネサス株は流動していた株式が少なく、株価が実態を反映していないかもという株価に対する信頼性がなく、果たして本当にルネサス株に需要があるのかどうか心配する向きがあった。今回のPOを通じて、ヘッジファンドではないわれわれの立場から見て好ましい半導体ビジネスを理解している投資家から、極めて強い需要があることが分かった。われわれの全株式が売れるだけの需要があった。

 もう1つ、POなどを通じて手応えを得たことがある。2017年5〜6月に株主に対して、われわれには設備投資やM&A、研究開発投資に、極めて大きな成長機会があり、株主価値を最大化するために、復配よりも内部での資金を使っていきたいとの説明を行ったところ、配当を求める株主は1社も存在しなかったことだ。日本のメーカーで、配当せず、キャッシュについては、成長資金に使うということで、支持を得ているケースは特異な存在であり、株主のそうした期待に応えていきたいと考えている。

――成長に向けたM&Aの方針をお聞かせください。


用途市場、製品分野別の投資方針 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

呉氏 M&Aで大切なことは、われわれにとって戦略的な意味を持つかどうか、株主価値を最大化できるかどうかだと考えている。

 M&Aの機会については常に注視し、何か機会が浮上してきたときに、すぐに機会を生かせるようにはしている。ただ、現時点では、具体的に動いていることはない。

――増産に向けた投資方針は?

呉氏 今後の追加的な生産は基本的に、ファウンドリーとOSAT(Out Source Assembly and Test=半導体後工程受託製造企業)を使っていく。

――ファウンドリー活用でどのように競争力を担保していくのですか?

呉氏 ファウンドリーに対し、専用の製造ラインを構築してもらうと、高コストになり、結果的に競争力を失うことになる。ファウンドリーの既存の製造ライン、プロセスを使いながら、他社と差別化できる製品を、ハード、ソフトを含めどう作っていくかが勝負になる。

 例えば、われわれが先頭を行っているマイコンでは、混載用メモリについては、われわれが独自にIPを開発し、なるべくTSMCの既存ラインで作ろうとしているが、メモリのIPは他社にまねできないものを作り、うまくTSMCに作ってもらっているという構図になっている。競争力の源泉を、IPやプロセスなどどこかで握って、競争力を身に付ける必要がある。

SOTBやDRPの開発に注力

――積極的に研究開発投資される領域について教えてください。

呉氏 まず、自動運転関連のところは、ソフト、ハード含めて相当リソースを投入している。汎用マイコンについては、ソフトウェアのパフォーマンスを保証する「Renesas Synergy」に投資を行っている。

 ややハードウェア寄りの投資であれば、将来のIoT(モノのインターネット)市場を見据えて、SOTB(Silicon On Thin BOX)やDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)に相当な力を入れて開発している。SOTB、DRPについてはこれまでなかったようなマーケットを作っていけるように、販売を工夫していく。例えば、SOTBはこれまでの100分の1以下というような小さな電力で動作できるようになる。土壌中のバクテリアで微弱電流を発生させ、そのわずかな電力で土壌の状態を検知するようなアプリケーションを実現できる可能性があり、顧客と一緒にマーケットを創出していきたいと考えている。

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