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EV用パワー半導体「全てそろえている」 オンセミSiCダイオードも18年中に発表

オン・セミコンダクターは「第10回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)で、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)向けのパワー半導体などを展示。EVやHEVに必要な製品をほぼ全てそろえていると強調した。

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2018年のキーワードは「EV」

 オン・セミコンダクターは、現在東京ビッグサイトで開催中の「第10回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2018年1月17〜19日)で、車載用パワー半導体をはじめ、トランスミッション用ソレノイド電流コントローラーや、CMOSイメージセンサー向けLDOなどを展示した。

 パワー半導体では特に、電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッド自動車(PHEV)向けの製品は「ほとんど、そろっている」(同社)と強調する。“ほとんど”というのは、今後ニーズの増加が加速するとみられるSiCパワー半導体については、足りない素子があるからだ。SiCダイオードは、2018年内にも提供を開始する予定だが、SiC-MOSFETについては開発がやや遅れているという。それ以外では、オン・セミコンダクターは「600V、650Vといった高耐圧のパワー半導体を各種取りそろえている」と述べる。

 さらに、ディスクリートがそろっているので、「小型のモジュールとして提案できるのが当社の強みだ」と続ける。モジュールはカスタマイズも可能だが、EVやPHEVでは必要な素子がある程度決まっているので、基本的には汎用モジュールとして提供する。


PVおよびPHEV向けのパワー半導体モジュール(クリックで拡大)

 SiCパワー半導体としては、まずは車載向けに耐圧1200VのSiCダイオードを、2018年中に発表する。さらに、耐圧650VのSiCダイオードや、同1200VのSiC-MOSFETの開発も並行して進めていく。

 EVは、欧米や中国が、政策としてクルマの電動化を一気に進めていることもあり、EV向け製品のニーズも高まっていくと予想されている。オン・セミコンダクターも「EV向けパワー半導体の提案を強化していくことが、2018年における当社のキーワードである」と語った。

 パワー半導体以外では、トランスミッション用ソレノイド電流コントローラー「NCV7120」のデモを展示した。ソレノイドモーターを駆動する6チャンネルドライバーICである。NCV7120の最大の特長は、±0.5%という電流精度を実現している点だ。例えば出力が1.2Aの場合、±6mAの精度になる。これはかなり厳しい数字だが、自動車メーカーから強い要望があったという。オン・セミコンダクターは、次世代品として8チャンネルの「NCV71208」を開発中だが、こちらは電流精度を±0.25%と、さらに高めたものになるとしている。

「NCV7120」および出力MOSFETを搭載したデモ用基板(左)。デモではオン・セミコンダクターのMOSFETを使用したが、同社以外のMOSFETも使用できる。右は、デモを行っているところ。出力MOSFETの電流(100mA)を計測していて、電流メーターに表示されている値は99.706mAとなっていて、高い精度を実現していることが分かる(クリックで拡大)

 オン・セミコンダクターはこれまで、ソレノイド電流コントローラーは、ASICを開発して個別対応してきた。NCV7120は、それらASICのIP(Intellectual Property)を取り出し、汎用品として開発したものになる。

 ADAS(先進運転支援システム)で使われれるカメラソリューション向けには、10μVという低ノイズのLDOのデモを披露した。カメラモジュールで、CMOSイメージセンサーに電圧を供給する用途を想定したものだ。ここで使われるLDOのノイズが多いと、CMOSイメージセンサーに使う基準電圧にノイズがのってしまい、ひどい時には画質の低下を引き起こす可能性もある。センサーの性能だけに注目しがちだが、LDOなどセンサー周りの回路に使われる部品の性能も、センサーと同じくらい重要になるのである。


デモでは、同じカメラを2台用意して、異なる角度から同じクルマの模型を撮影。一方のカメラモジュールにはオン・セミコンダクターの低ノイズLDOを、もう一方には、ノイズ性能がよくないLDOを搭載し、画質を比較した。写真左の画像には、ノイズがのってしまっていることが分かる(クリックで拡大)

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