技術講演の最終日午後(その1)、サブテラヘルツのセンサーアレイで近視野像を撮影:福田昭のデバイス通信(136) 2月開催予定のISSCC 2018をプレビュー(12)(1/2 ページ)
今回は「ISSCC 2018」最終日午後から、セッション26と27の注目講演を紹介する。0.56THzを検出するセンサーアレイシステムや、過渡回復時間が6マイクロ秒の昇降圧型DC-DCコンバーターなどが登場する。
ミリ波増幅技術と高効率DC-DCコンバーター技術の開発成果
2018年(今年)2月に米国サンフランシスコで開催予定の国際学会「ISSCC 2018」の概要をシリーズでお届けしている。前回は、メインイベントである技術講演セッションの最終日午前(現地時間で2月14日水曜日午前8時30分開始予定)から、セッション23〜セッション25のハイライトをお届けした。今回からは、同じ最終日でも午後のセッション(午後1時30分開始予定)をご紹介していく。
最終日の午後にはセッション26〜セッション31の6本のセッションが予定されている。その中でセッション30とセッション31の2本はハーフセッションである。全体としては5本のセッションが同時並行で進行する。
セッション名は番号順に、「通信とセンシングに向けた高周波技術」(セッション26)、「パワーコンバーター技術」(セッション27)、「無線接続」(セッション28)、「最先端のバイオメディカルシステム」(セッション29)、「次世代メモリ」(セッション30)、「機械学習に向けたインメモリ・コンピューティング」(セッション31)となっている。今回はセッション26とセッション27のハイライトをお届けしよう。
65GHz帯のミリ波を放射する線形パワーアンプをCMOSで実現
セッション26の「通信とセンシングに向けた高周波技術」では、ミリ波帯域の増幅回路とサブテラヘルツ波帯域のセンサーシステムが登場する。
Georgia Institute of Technologyは、65GHz帯のミリ波を放射する、CMOS線形パワーアンプ回路を発表する(講演番号26.2)。ドハティ方式の負荷変調によって64値のQAM(直交振幅変調)信号を6Gビット/秒で出力する。65GHz帯域における1dB利得圧縮点の出力は19dBm。電力付加効率(PAE)はピーク出力のときに27.5%、6dBバックオフ出力のときに20.1%。製造技術は45nmのSOI CMOSプロセスである。
Georgia Institute of Technologyは、20GHz帯域から30GHz帯域をカバーするミリ波の線形パワーアンプ回路も発表する(講演番号26.6)。連続モードの高調波同調による周波数調整機能を搭載した。1dB利得圧縮点の帯域幅は19GHz〜29.5GHz、S21 3dB帯域幅は17.7GHz〜32.3GHzである。18Gビット/秒の64値QAM信号と8Gビット/秒の256値QAM信号を平均出力8.7dBmでサポートする。総合電力付加効率(PAE)は16.3%、ピークPAEは20%である。
ドイツのUniversity of WuppertalとドイツのIHP(Innovations for High Performance Microelectronics)、フランスのInstitut Bergonie、フランスのCNRS(国立科学研究センター)、フランスのUniversity of Bordeauxによる共同研究グループは、0.56THzのサブテラヘルツ波を検出するセンサーアレイシステムを報告する(講演番号26.10)。センサーはスプリットリング共振器(SRR)を基本とする。128個のセンサーアレイを内蔵することで、ニアフィールド(近視野)の画像を構築可能にする。サブテラヘルツ波を発生して対象物に照射する機能も内蔵した。アナログ読み出しモードとデジタル読み出しモードを備えており、ダイナミックレンジはアナログモードが93dB(帯域幅1Hz)、デジタルモードが37dB(フレーム速度は28フレーム/秒)。製造技術は0.13μmのSiGeバイポーラCMOSプロセスである。
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