スマホと同じく“AD1C”へ向かうドローン ―― MAVIC Airの内部から見えること:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(22)(2/3 ページ)
今回は2018年1月に発売された中国DJIの最新ドローン「MAVIC Air」を分解し、分析していく。DJIの過去のドローンと比較すると、デジタル機能の1チップ化が進んできていることが分かる――。
センサーの塊
図2は、MAVIC Airのメイン信号処理基板に接続されるセンサー群である。MAVIC Airの最大の特長が周囲に張り巡らしたセンサー群によって空間認識をし、その結果を用い衝突回避など各種自動運転機能を実現している点にある。
カメラが周囲に6基(前方2基、後方2基、下方2基)、障害物センサー、3軸加速度センサー、3軸角速度センサーがそれぞれの基板に接続されている。実際には撮影用カメラのジンバルにも3軸センサーが2基搭載されているので(センサー検知結果を用いることでブレ範囲を0.005度に抑える撮影が可能になっている)、MAVIC Airにはトータルで18軸ものセンサーが備わっていることになる。まさにセンサーの塊の中に、基板があるという状況だ。
図3は、各種センサー群とメイン信号処理基板の関係を復元した図になる。
取り囲むセンサー群に対して、情報を集中してプロセッサが受け持っている。プロセッサはさらに撮影用のフロントカメラの映像の処理も行っており、レンズの歪みなど補正するISP(Image Signal Processing)処理をしたデータをストレージメモリに格納できる構成だ。MAVIC Airでは8Gバイトの大容量ストレージを持っているので、1回のフライトのほぼ最初から最後までにわたって、4K画像を撮影、保存できるようになっている。センサーから得られた情報で空間認識処理を行う。その情報をモーター基板に送り、モーター制御処理を行い、フライトを行うわけだ。このシステムをDJIは「APAS」と命名している。クルマの自動運転などの基礎になるADAS(Advanced driver-assistance systems/先進運転支援システム)と非常に似通った「Advanced Pilot Assistant System」を略してAPASと名付けている。
DJIのドローンの内部は著しく変化を続けている。初代PhantomからPhantom4までの変化も著しいが、今回のMAVIC Airでは、大幅に搭載チップの変更が行われている。
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