IoTでようやくWi-Fiの出番、シリコンラボの専用モジュール:embedded world 2018(1/2 ページ)
Silicon Laboratories(シリコン・ラボラトリーズ)は、「embedded world 2018」でIoT(モノのインターネット)に特化したWi-FiトランシーバーとWi-Fiモジュールを発表した。同社でIoT製品担当のシニアバイスプレジデントを務めるDaniel Cooley氏は、「Wi-Fiが適するIoTのユースケースがようやく出てきた」と強調する。
IoTに特化したWi-Fiモジュール
Silicon Laboratories(シリコン・ラボラトリーズ、以下Silicon Labs)は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された「embedded world 2018」(2018年2月27日〜3月1日)で、IoT(モノのインターネット)向けのWi-Fiトランシーバー「WF200」およびWi-Fiモジュール「WFM200」を発表し、デモを展示した。
両製品はIEEE 802.11b/g/nをサポートする。WF200は4×4mmのQFN32パッケージで提供される。WFM200は、トランシーバーの他、アンテナや受動部品などを搭載したSiP(System in Package)で、サイズは6×6mm。送信時の電流が138mA、受信時の電流が48mA(標準値)と、極めて低い消費電力を実現しているが特長の1つである。
IoTで利用するには足りなかった、2つの条件
Silicon Labsは、ここ5年ほど、低消費電力のワイヤレスモジュールの開発に注力してきた。背景にあるのはIoT市場の成長だ。ただ、IoT向けとしてBluetooth Low Energy(BLE)やZigBee、Thread、Silicon Labsの独自無線規格(2.4GHz帯)に対応する製品を手掛けてきたものの、Wi-Fi製品だけは、IoT向けとしてはポートフォリオに加えていなかった(IoT以外の用途向けとしては、ある)。
同社のIoT製品担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーであるDaniel Cooley氏は、その理由について「3〜5年前まで、IoT向けの通信としてはWi-Fiはそれほど重要ではなかったからだ」と述べる。「確かにWi-Fiは、PCやスマートフォンなどには搭載されるようになり、家庭、オフィス、カフェなどではWi-Fiに接続することが増えてきた。だが、AP(Access Point)が至るところにあるわけではなかった。欧米で、どこでもWi-Fiにつなげるようになってきたのは、ここ数年のことだ」(Cooley氏)
もう1つが、データレートだ。Cooley氏は「これまでのIoT機器は多くの場合、何らかのオン/オフを検知したり、人がいるかいないかを検知したり、といった用途に使われてきた。これらのユースケースでは、データレートは最大数メガビット/秒(Mbps)あれば十分だった。キロビット/秒レベルあるいはビット/秒で済むことすら、ある。だがここ最近は、5Mbps、10Mbps、20Mbpsといった、より高いデータレートが求められるニーズが、見え始めている」と語る。
一例がネットワークカメラだ。撮影した映像を送信し、素早くスリープ状態に戻るには高いデータレートが必要になる。Cooley氏はもう1つの例として、OTA(Over The Air)によるソフトウェアのアップデートを挙げる。「こういった用途には、BluetoothやZigBeeは適していない」(同氏)
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