産業用ロボット、2020年まで年平均15%で成長:アジアで著しい成長(1/2 ページ)
近年、工業製品や商品などをロボットが製造するケースがますます増えている。産業用ロボットのトレンドに関する最近の研究によると、特にアジア、そして電子機器製造での需要が高まっており、今後数年間の技術発展によって、ロボットはさらに多くの能力を持つようになるという。
産業用ロボットの成長市場はアジア
ドイツに拠点を置くInternational Federation of Robotics(IFR)が、ある調査結果を発表した。IFRの「World Robotics: Industrial Robots 2017」というレポートによると、産業用ロボットの世界販売台数は、2011年から2016年にかけて毎年平均12%ずつ増加しており、2016年には対前年比の増加率が16%に達したという。
アジアは依然として最も急速に成長する産業用ロボット市場であり続けている。アジアでは、2016年に産業用ロボットの販売台数が前年比で19%増加した。これに対し、欧州の増加率は12%、南北アメリカは8%だった。なお、2016年の産業用ロボットの世界売上高は131億米ドルだった。
中国は過去数年にわたり、世界最大の産業用ロボット市場としての地位を維持している。その市場規模は拡大し続けており、2011年から2016年にかけて、年平均成長率31%で成長した。
産業用ロボットの二大バイヤーは中国と韓国だが、2016年の販売台数が中国(27%増)に次いで最も多く伸びたのは米国(14%増)だった。日本での販売台数は10%、韓国では8%増加した一方、世界第5位の市場であるドイツでの増加率は横ばいとなった。2016年の産業用ロボットの総販売台数の74%をこれらの5カ国が占める形となった。
電子機器製造でロボット採用が進む
世界的に見て、産業用ロボットが活用される二大分野が自動車製造(35%)と電子機器製造(31%)であることに変わりはない。2016年、自動車製造向けの販売台数の増加率はわずか6%にとどまったが、電子機器製造の分野では過去数年間で急速に増加しており、2016年には前年比で31%も増加した。アジア地域のほとんどの市場では、産業用ロボットが最も多く活用されているのは電子機器製造分野である。
ただし、IFRのレポートは、製造業の規模が各国で異なることを考慮せずに、ある市場での総販売台数のみに注目すると、誤解を招く恐れがあると指摘している。
アナリストらは、状況をより正確に把握できるよう、2016年の製造労働者1万人当たりの産業用ロボット密度を算出した。その結果、世界平均値が74台であることが分かった。つまり、労働者1万人当たり74台の産業用ロボットが導入されていることになる。
地域別に見ると、産業用ロボット密度が最も高いのは欧州で99台。その後に南北アメリカの84台、アジアの63台が続く。国別では韓国が最も高く、631台。次いでシンガポールが488台、ドイツが309台、日本が303台、米国が189台、中国は68台という順になっている。
その圧倒的な販売台数を踏まえると、中国の数値が低いように見えるが、2013年の25台からは大きく伸びている。中国は、製造業発展政策である「中国製造2025」の一環として、Industrie 4.0(インダストリー4.0)のような自動化を含め、高度な製造業の実現を目指している。だが、レポートによると、目標達成はまだ当面先のようだ。
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