モーター、パワトレやボディーなど車の全領域で需要増:2025年は2016年比1.5倍の需要に
矢野経済研究所は、車載モーターの世界市場調査を実施し、市場の概況や将来の展望などを発表した。2016年の車載モーター世界市場は約29億9900万個の需要となり、2025年には、2016年比で約1.5倍となる44億7100万個の需要が発生すると予測している。
矢野経済研究所は、車載モーターの世界市場調査を実施し、市場の概況や将来の展望などを発表した。
同調査では、スターターやオルタネーター、電動ウォーターポンプなどのパワートレイン領域、電動パワーステアリングや電動ブレーキなどのシャシー領域、パワーウィンドウやパワーシートなどのボディー領域、主機モーターや電動コンプレッサーなどの次世代自動車システム領域の4領域を対象としている。
2016年の車載モーター世界需要は約30億個に
2016年の車載モーター世界市場は約29億9900万個の需要となった。同年の市場で最もきな比率を占めるのはボディー領域で、約22億600万個の需要と全体の73.6%を占めている。その他、シャシー領域は約2億1300万個、パワートレイン領域は約5億6400万個の需要となった。一方、電気自動車(EV)などの浸透で注目を集める次世代自動車システム領域は、2016年時点では約1600万個と需要個数が少なく、全体の1%に満たないという。
2025年には全領域で需要が拡大し、合計で44億7100万個の需要が発生すると同社では予測している。各領域別に見ると、次世代自動車システムは最も需要が増加する領域と見込まれ約9100万個(2016年比成長率569%)、ボディー領域は約32億6700万個(同148%)、シャシー領域は約3億4900万個(同164%)、パワートレイン領域は約7億6300万個(同135%)となっている。
同社では車載モーター需要増の傾向について、世界的に厳格化する環境規制が主要因とみる。特に、欧州では2021年に1km走行当たりCO2排出量が95gと世界に先駆けて厳しい規制を予定していることや、世界最大の自動車市場である中国においても2020年に1km走行当たり117gと主要国並みの燃費規制目標が定められており、自動車メーカー各社は規制への対応を迫られている。
また、安全性や利便性の向上を目的とした車載装備の高機能化についても、従来の機械式装備を電動化することで実現していくことが予想され、パワートレインやシャシーなどの各領域で車載モーター搭載数増加の追い風になっているとする。
主機モーターの需要予測概況
同社はさまざまな車載モーターの概況を予測しているが、主機モーターについても動向の観測を行っている。主機モーターの需要について同社は、「(EVなど)次世代自動車の普及に従って需要が拡大するため、基本的には次世代自動車の出荷推移と連動する」ことを見込んでいる。
一方で、現在の市場で大多数を占める2モーター方式のハイブリッド車(HEV)から、今後1モーター方式を採用するEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)などへ普及モデルが移行するため、車両台数の成長率を主機モーターの需要増加が上回ることはないと同社は予測する。これら要因から同社は、2016年に約428万個であった主機モーターの世界市場は、2020年には約970万個、2025年には約2080万個まで市場が拡大するとしている。
価格動向については、モーターの出力や特性、冷却方法の違いによっても大きな開きがあるため一概に推計するのは困難であるとしつつも、「主機モーターの価格は永久磁石の市況とも連動するため大幅な価格下落は見込みにくいが、次世代自動車の普及による量産効果によって緩やかな価格下落が見込まれる」と見立てている。
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