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私を「疾病者」にしたのは誰だ? 労働と病(やまい)の切っても切れない関係世界を「数字」で回してみよう(49) 働き方改革(8)(5/10 ページ)

現代の社会において、労働と病(心身の)の関係は切っても切り離せません。会社組織には、「労働者」を「疾病を抱える労働者」へと変貌させる機能が備わっているのかと思うほどです。今回は、「労働者の疾病」に焦点を当ててシミュレーションを行ってみました。

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「この私を、疾病を抱える労働者にしたのは誰だ?」

 しかし、ここで1つの疑問が生じます。

―― この私を、疾病を抱える労働者にしてしまった奴は、一体どこの誰だ?

 「疾病になったのは、健康管理や仕事のコントロールができない、私自身の責任である」と言うのは簡単です。しかし、断言しますが ―― 会社は、いつだって、私の健康管理や仕事のコントロールが可能な範囲超える仕事(私の能力を超える仕事)を平気で与え続けてきました。

 というか、近代社会が生み出した「会社」という組織そのものが、「疾病製造システム」といっても良いかもしれません。

 考えてみれば、一定の場所に閉じ込めて数時間以上も頭脳を使わせ続けたり、その逆に、毎日のように広大な空間を移動させて体を使わせ続けたり、あるいは予定のない事項を突発的に要求した上にムチャな時間制限を課したり……会社とは、非人道的な業務を、果てしなく行い続ける組織です。

 そもそも、会社とは、社員にそのポテンシャル以上の仕事を要求し続けることで、持続的に生きのびることを目的とする「悪の結社」です。

 つまり、「会社に所属する」ということは「仕事で病気になる」ということと同義なのです。そもそもが、理不尽な組織であり、私たちは、それを承知の上で、この組織に参入している ―― というか、参入せざるを得ない現代社会を生きているのです。

 で、まあ、そのあたりは、当然に、この現代社会も承知しており、そのため、「疾病を抱える労働者」を保護する規定が、かなりガッチリと立法化されています。

 これらの法律は、労働者を守るという観点においては当然と言えるかもしれませんが、自由競争とか、資本主義経済の観点 ―― つまり経営者の観点から見ると ―― かなり会社側に厳しいとも言えます

*)この辺については、私の米国出向中の出来事をご一読ください(「「非正規雇用」の問題は、「国家滅亡に至る病」である」)。

 上記の図の内容をまとめますと「仕事が原因で、疾病を抱える労働者になってしまった私を解雇することは、相当に難しい」のです。

 会社が、解雇を強要しても、裁判でそれをひっくり返すことは可能です(決して簡単ではありませんが)。実際に、現在も係争中の裁判はありますが ―― これは、私の主観ではありますが ―― そのような裁判になった事例は、私が思っていたほど多くないようなのです。

 なぜなら「解雇」される前に、疾病を抱える労働者が、自らの意志で「離職」をしてしまうからです。

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