低電力で低コスト、FPGAを活用したAIスタック:ニューラルネットワークを最適化
Lattice Semiconductor(ラティス・セミコンダクター)は、極めて小さい電力消費と部材コストで、エッジ製品へのAI(人工知能)導入を行うことができる技術スタック「Lattice sensAI」を発表した。
Lattice Semiconductor(ラティス・セミコンダクター)は2018年5月25日、極めて小さい電力消費と部材コストで、エッジ製品側にAI(人工知能)機能を導入するための技術スタック「Lattice sensAI」を発表した。
さまざまなIoT機器へ機械学習を素早く導入
Lattice sensAIは、5つのスタックで構成されている。エッジコンピューティングにフォーカスした同社製FPGAを搭載した「ハードウェアプラットフォーム」、推論を行う「ニューラルネットワークIPコア」、機械学習ライブラリ「Caffe/TensorFlow」からFPGA用に変換するニューラルネットワークコンパイラなどの「開発ツール」、顔検出や速度標識検出などの「レファレンスデザイン」および、用途別に対応する「カスタム設計サービス」である。
ハードウェアプラットフォームとしては、「iCE40 UltraPlus FPGA」をベースに、イメージセンサーやマイク、ジャイロセンサーなどを搭載した「モバイル開発プラットフォーム(MDP)」と、「ECP5 FPGA」をベースにMIPI CSI-2やHDMI、GigE Visionといったインタフェース機能を搭載した「ビデオインタフェースプラットフォーム(VIP)」を用意した。
ニューラルネットワークIPコアは、iCE40 UltraPlus FPGA向けに最適化したバイナリーニューラルネットワーク(BNN)アクセラレーターと、ECP5 FPGA向けに最適化された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アクセラレーターを用意した。ちなみに、iCE40 UltraPlus FPGA向けBNN IPコアの実装には3000個のルックアップテーブルを用いるという。
ソフトウェア開発ツールとしては、ニューラルネットワークコンパイラツールと、設計ソフトウェアである「Lattice Radiant」や「Lattice Diamond」を提供する。ニューラルネットワークコンパイラを用いることで、標準的なフレームワークを用いて構築したネットワークを、RTLの知識がなくてもFPGAに組み込むことができるという。
レファレンスデザインとしては、MDP向けに顔検出やキーフレーズ検出の機能、VIP向けにオブジェクトカウント、顔追跡、速度標識検出を行う機能などを用意した。これら以外についても、認定パートナーとのエコシステムにより、スマートホームやスマートシティー、スマートファクトリーなどの用途に向けたカスタムデザインサービスを提供する。
同社は、エッジ製品に向けた半導体デバイス事業にフォーカスしてきた。特に、消費電力が極めて小さく小型で高性能な同社製品は、センサーブリッジとして多くの実績を持つ。今後は、AI技術を搭載したエッジ製品などの用途に期待する。
同社アジアパシフィック地域事業開発担当シニアマネジャーを務める陳英仁(インジェン・チン)氏は、膨大な機器が接続されるIoT(モノのインターネット)の課題として、「データ遅延やプライバシーの問題、そしてバンド幅の制約」を挙げた。これらを解決する方法の1つが、AI技術を搭載したエッジ製品である。これらの製品では、消費電力や部材コストを抑えつつ、既存インタフェースへの対応も必要となる。
「MDPに搭載したiCE40 UltraPlus FPGAは、消費電力が最小1mWでパッケージサイズは5.5mm2、価格は約1米ドルからである。VIPのECP5 FPGAでも消費電力は1W以下と少ない」(陳氏)と、同社のFPGAを利用するメリットを強調した。
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