リーマンショックも影響? “蔵出しFPGA”の真相を探る:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(25)(2/3 ページ)
前回に続き、2017年発売ながらチップに開発した年を意味する「2009」と刻まれていたIntel製FPGA「Cyclone 10 LP」を取り上げる。さらに多くのCycloneシリーズ製品のチップを観察し、2009年に開発されたチップであるという確証を探しつつ、なぜ2017年の発売に至ったのかをあらためて考察していく。
2009年発売と2017年発売で連なるコード番号
表2は、2017年年頭に発表され、同年後半に「Intel FPGA」というブランドを冠して発売されたCyclone 10 LPチップ(3種類)の様子である。先のCyclone IVと同じく、3種のチップともに、2009年の西暦情報とZ14XXのコード表記が刻まれていた。
表3は、今回新たに観察したものを含め計6種のチップのパッケージ型名と、チップ上の西暦情報、コード表記の一覧である。
基本的に半導体メーカーはシリコンの種類を増やしたくないと考える。少しでもチップサイズや内部の形状が異なると、パターンを描画するためのマスクと呼ばれる原図を作り直さねばならず、また出来上がったチップをテストするための冶具なども新調せねばならないからだ。
できるだけ同じシリコンで、多くのユーザーの要求をカバーすることが重要になってくる。パッケージの形状を変えて製品展開を行うことや仕様の見せ方(一部機能を見せたり、見せなかったり)して同じシリコンを2つないし3つの製品に使い分けている(多いケースでは主にパッケージ展開10種を超える場合もある)。Intel、NVIDIA、AMD、Texas Instruments(TI)など米国半導体メーカーは1つのシリコンから多くの製品群を生み出している(こうした事例はテカナリエのデータベースに驚くほど多く存在する!!)
一方、日本メーカーでは、同じシリコンを横展開、縦展開し面を形成する事例は少ない(マイコン製品でのパッケージ展開こそ多いが……)
表3で明らかになったことは、Intel傘下になる前のAlteraが2009年に実際に開発したチップには、パッケージの型名とは別に、シリコンに搭載されるコードネームが、Z1432、Z1433、Z1434、Z1435と1つずつカウントアップされて、そろっていたことである。その中のZ1433、Z1434が、2017年にCyclone 10 LPという新製品になって、蔵出しされ販売されたわけだ。
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