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Z-Wave買収でスマートホームに攻勢、シリコンラボ必要なプロトコルがそろった(1/2 ページ)

IoT向けの無線通信SoC(System on Chip)のラインアップ強化を図るSilicon Laboratories(シリコン・ラボラトリーズ)。2018年4月には、Sigma DesignsのZ-Wave事業を買収した。

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M&AでIoT向け無線技術を獲得

 2012年にCEO(最高責任者)が交代して以来、米Silicon Laboratories(以下、Silicon Labs)は、IoT(モノのインターネット)向けに、SoC(System on Chip)やモジュールといった製品の展開とラインアップ強化に努めてきた。


CMOのMichele Grieshaber氏

 Silicon LabsでCMO(Chief Marketing Officer)を務めるMichele Grieshaber氏は、「IoT向けSoCの開発へと舵を切ることを決断したのは、2012年にCEOに就任したTyson Tuttleだ。その当時、IoT市場は既に存在していたものの、今ほど盛り上がってはいなかった。それでも、周囲の環境をセンシングして無線通信でデータを送るという、いわゆるIoT機器の用途は、スマートホームやスマートビルディングなど幅広い分野に及ぶことが想定されたため、Tuttleの判断は極めてロジカルだったと、個人的には考えている」と語る。

 以来、Slicon Labsは、IoT通信に適した無線通信技術を獲得すべく、積極的なM&Aを行った。2012年には、ZigBee用RF ICを手掛けていたEmber、2013年には低消費電力MCU「Gecko」を開発していたEnergy Microを買収。2015年には、Bluetooth技術に強みを持つBluegiga Technologies、ZigBeeおよびThreadモジュールを手掛けるTelegesisを買収した(関連記事:「IoTの通信方式は適材適所へ マルチプロトコルの現状」)。2017年には、IoT向けに低消費電力でクラウドに接続するWi-Fi接続技術を手掛けるZentriを買収している。

 「特にEnergy MicroのGeckoは、当時でもかなりの低消費電力を実現しており、これがSilicon LabsがGeckoの資産を継承すると決めた大きな理由でもあった」(Grieshaber氏)。このGeckoをベースに、RFトランシーバーなどを搭載して誕生したSoCが、Slicon Labsのワイヤレス製品では主力ともいえる「Wireless Gecko」である。Wireless Geckoには、Thread、ZigBee、Bluetoothおよび独自プロトコル(2.4GHz帯またはサブギガヘルツ帯)に対応する「Mighty Gecko」、Bluetoothと独自プロトコルに対応する「Blue Gecko」、独自プロトコルに対応する「Flex Gecko」がある。


「Wireless Gecko」のポートフォリオのソフトウェアスタック構成 出典:Silicon Labs(クリックで拡大)

スマートホーム向けのZ-Wave

 Silicon LabsはこれまでのM&Aで、ZigBeeやBluetooth、ThreadなどIoTに適した無線通信技術は獲得していったが、それをさらに補完した。2018年4月に、米Sigma Designs(シグマ・デザインズ)のZ-Wave事業を、2億4000万米ドルで買収したのである。

 Z-Waveは、2003年にデンマークのZen-sysが開発した無線規格で、サブギガヘルツ帯を使用するメッシュネットワーク技術である(関連記事:「欧米で普及が進む無線規格「Z-Wave」の国内動向」※EDN Japanに移行します)。Silicon LabsでProduct Marketing Manager for Z-Wave IoTを務めるJohan Pederson氏は、Z-Waveの最大の特長として、スマートホーム市場のみをターゲットにしていることを挙げる。


Z-Waveは主に欧米市場で普及していて、2017年におけるデバイスの世界出荷数は12億個以上に上る 出典:Silicon Labs(クリックで拡大)

Z-Waveのエコシステム。照明、サーモスタット、ドアロック、センサーなどで使われている 出典:Silicon Labs(クリックで拡大)

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