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レーザーディスプレイ向け高出力緑色半導体レーザーシャープが光出力130mW達成(1/2 ページ)

シャープは2018年6月14日、緑色半導体レーザーとして光出力130mW品を2018年10月から量産すると発表した。シャープでは、波長520nm帯域の緑色半導体レーザーとして「業界最高の光出力」とする。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、小型プロジェクターなどの用途での採用を見込む。

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 レーザーディスプレイ市場を立ち上げるために――。

 シャープは2018年6月14日、緑色半導体レーザーとして光出力130mW品を2018年10月から量産すると発表した。シャープでは、波長520nm帯域のシングルモード半導体レーザー*)として「業界最高の光出力」とする。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、小型プロジェクターなどの用途での採用を見込む。

*)シングルモード半導体レーザー:ビーム形状が円形でパワーがその中心に集中している半導体レーザー。

 シャープは、CD用赤外半導体レーザーを皮切りに半導体レーザー事業を展開。近年は、レーザーを光源とするディスプレイ(レーザーディスプレイ)向けに可視光の半導体レーザー開発を強化し、2017年に緑色半導体レーザーの製品化を行ったことで、光の三原色(赤、緑、青)全ての半導体レーザーの製品ラインアップを整えた(関連記事:“3色のレーザー”で新市場攻略を狙うシャープ)。


新製品の位置付け (クリックで拡大) 出典:シャープ

520nmの長波長化に色再現性が向上した (クリックで拡大) 出典:シャープ

 ただ、2017年11月に量産を開始した緑色半導体レーザーは、光出力が30mWと比較的小さく、用途がHMDやレーザーポインターなどあまり大きな光出力を求めない領域に限られた。そこで、今回、GaN(窒化ガリウム)系材料の結晶成長方法やデバイス構造を改良して、光出力を従来の4倍以上となる130mWに高めた製品を実現。同時に、従来製品では515nmだった波長を、520nmに長波長化し、色再現性も向上させた。8K解像度のテレビ向け国際規格「BT.2020」で定められている色域のカバー率も従来品では88.3%(450nmの青色、638nmの赤色レーザー使用時)だったが、新開発品は93.5%(同)に高まった。

 シャープ電子デバイス事業本部レーザー事業部企画部長の田中智毅氏は「レーザーディスプレイ市場規模は、現状かなり小さいが、2020年以降、成長し大きな市場を形成すると予想されている。そうしたレーザーディスプレイ市場を立ち上げるために、半導体レーザーの開発を進めている。従来の緑色半導体レーザーでは、出力不足で小型プロジェクターに適用できなかったが、130mW出力の新製品により、70ルーメン(lm)クラスの小型レーザープロジェクターを実現できる半導体レーザーが3色そろった」と説明する。


開発した新緑色半導体レーザーを使用した小型プロジェクター試作機によるデモ。田中氏は「AIスピーカーなどで、半導体レーザーによるプロジェクターを搭載を検討するケースが増えている」という (クリックで拡大)
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