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水晶発振回路の起動時間、従来の半分以下に短縮:電池寿命を最大4倍に延ばす(1/2 ページ)
高エネルギー加速器研究機構と東京工業大学は、起動時間が従来の半分以下と短い水晶発振回路を開発した。
起動時は増幅器を3段構成に、容量フィードフォワードパスも追加
高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所の宮原正也准教授は2018年6月、東京工業大学工学院電気電子系の岡田健一准教授らによる研究グループと共同で、起動時間が従来の半分以下と短い水晶発振回路を開発したと発表した。IoT(モノのインターネット)機器の消費電力を大幅に削減できる技術だという。
水晶発振回路は、水晶振動子と発振回路で構成される。発振させるには、水晶振動子の抵抗(RX)を打ち消すように、発振回路で負性抵抗(RN)を発生させる必要がある。電源をオンしてから発振が安定するまでに数ミリ秒の起動時間を要することもあり、この間も電力を消費していた。
RNの絶対値をRXより大きくすれば、水晶発振回路の起動時間を短くできるが、RNの絶対値を大きくするには限界があり消費電力も増えるという課題があった。
そこで研究グループは、増幅器を3段に接続する構成とした。1段目と2段目の増幅器により、電力利得を従来の約100倍とし、極めて少ない消費電力で大きな負性抵抗を得られるようにした。さらに、容量フィードフォワードパスを追加した。これによって、これまでの理論限界値を超えられるようにした。この結果、それぞれの回路負荷抵抗は、従来の100倍となった。
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