データ中心を加速、WDがRISC-Vプロセッサ開発に本腰:東芝メモリとは“良好な関係”(1/2 ページ)
Western Digital(ウエスタンデジタル/WD)は2018年6月21日、東京都内で記者会見を開催し、オープンソースのISA(命令セットアーキテクチャ)である「RISC-V」について、同社の取り組みを説明した。
Western Digital(ウエスタンデジタル/WD)は2018年6月21日、東京都内で記者会見を開催し、オープンソースのISA(命令セットアーキテクチャ)である「RISC-V」について、同社の取り組みを説明した。
RISC-V Foundation創立時からプラチナメンバーとして参画するWDは、RISC-Vの普及とエコシステム発展に向けて熱心に取り組んでいる。同社は既に、同社製品に搭載するコントローラーやプロセッサのISAをRISC-Vに移行すると発表しており、移行が完了した場合には年間で約10億個以上のRISC-Vチップ出荷が見込まれている。
今回の会見では、同社Executive Vice President兼CTO(最高技術責任者)を務めるMartin Fink氏が登壇し、上記からさらに一歩踏み込んだ説明を行った。WDは、RISC-Vを採用した機械学習向けなどの専用プロセッサを開発し、データセントリックコンピューティングの実現を狙っている。
WD製品の大半がRISC-Vに移行する
同社の動きの背景として、Fink氏は「現在、ビッグデータやファストデータのワークロードは既に汎用CPUのキャパシティーを超えており、PCのようなCPUセントリックコンピューティングでは対応できない」と説明。この状況を解決するため、「データの近くにプロセッサを配置するデータセントリックアーキテクチャを採る必要がある」と主張する。
機械学習などのビッグデータ処理ではHDDやSSDといったストレージに、ブロックチェーンなどのファストデータ処理ではDRAMやSRAMといったメモリに対して、目的別に特化した専用プロセッサを直結する。データがある場所でデータを直接処理する“エッジ型”のコンピューティングが、これから業界が向くべき方向性だと語る。
データセントリックコンピューティングでは、目的特化のプロセッサ開発が重要となり、かつ拡張性が求められるという。RISC-Vは、オープンソースでありつつロイヤリティーも不要であるため開発コストが低減できること、モジュール化された拡張ISAにより組み込みシステムからデータセンター向けプロセッサまでスケーラブルに対応できること、といった面で優れ、データセントリックコンピューティング環境の構築に最適と説明した。
同社のRISC-Vへの移行について、Fink氏は「全製品ではないが、ほとんどの製品が対象となる」として、「2019年に最初のRISC-V搭載製品が登場する予定」とする。また、移行完了は現在から5〜7年後となる予定だ。
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