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嫌われ者の“EOL品供給”を使命とするRochesterインタビュー(1/3 ページ)

誰もが嫌う“EOL品の供給”を使命にしている企業がある。Rochester Electronics(ロチェスター・エレクトロニクス)だ。70社以上の半導体メーカーから承認を得て、EOL品、またはEOL品を製造する権利を買い取り、メーカーや商社に成り代わってEOL品をユーザーに提供している。なぜ、EOL品の供給でビジネスが成り立つのか。どういったビジネス戦略を描いているのか。Rochester Electronicsの日本オフィス代表を務める藤川博之氏にインタビューした。

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 生産中止となった半導体製品、いわゆる「EOL(End Of Life)品」の供給(ないし、調達)は、誰が責任を負うべきなのだろうか。

 半導体メーカーが責任を持って供給すべきなのか。それとも、半導体流通を担う商社が責任を取るべきか。はたまた、半導体ユーザーが生産中止時に必要な分だけ買い取るべきなのか――。

 はっきりしているのは、メーカー、商社、ユーザーいずれも、厄介な存在でしかないEOL品の責任は負いたくないと思っていることだけだ。

 半導体メーカーとしては、採算が見込めないので生産を中止するわけであり、EOL品が必要であるならば顧客に買い取ってもらいたいというのが本音。一方でユーザーの立場からすると、メーカーの勝手な都合で生産を中止するわけであり、供給責任は果たすべきと当然のように考える。半導体メーカーと顧客の間で半導体流通を円滑にする役割を担う半導体商社にとっても、不良在庫となる可能性の高いEOL品はあまり持ちたくない――というのが実情だ。

 こうした誰もが嫌う“EOL品の供給”を使命にしている企業がある。Rochester Electronics(ロチェスター・エレクトロニクス)だ。70社以上の半導体メーカーから承認を得て、EOL品、またはEOL品を製造する権利を買い取り、メーカーや商社に成り代わってEOL品をユーザーに提供しているという。なぜ、EOL品の供給でビジネスが成り立つのか。どういったビジネス戦略を描いているのか。Rochester Electronicsの日本オフィス代表を務める藤川博之氏にインタビューした。


Rochester Electronicsで日本オフィス代表を務める藤川博之氏

欧米で浸透したビジネスモデルを日本でも

EE Times Japan(以下、EETJ) まず、Rochester Electronicsの事業規模を教えてください。

藤川博之氏 申し訳ないが、株式未公開企業であり、業績数値は一切公表していない。1981年の設立以来、EOL品の販売、製造を主力事業として事業規模を拡大し、本社のある米国を皮切りに、欧州へも事業領域を拡大し、現在は、アジア太平洋地域、日本へと進出し、世界規模で事業成長を図っている。

EETJ EOL品の製造、販売で採算を得るために最も手っ取り早い方法は、半導体メーカーの販売価格よりも、割高な価格設定で販売することです。

藤川氏 その通りで、半導体メーカーや商社から購入するよりも、当社から購入すれば、たいてい割高になる。ただ、販売価格は割高でも、欧米ではRochesterの価値が認められ、Rochesterのビジネスモデルは一般的になっている。

ブローカーではない

EETJ Rochesterの価値とは?

藤川氏 われわれはブローカー(仲買人)ではなく、半導体メーカーに認められた正規販売代理店であり、正規のメーカーであるということが、価値の1つだ。われわれが販売するEOL品は、パッケージに封止された完成品の他に、正規メーカーから加工済みウエハーを譲り受け当社がパッケージングして販売するものや、EOL品の設計情報をメーカーから移管されウエハーから製造するものもある。その際、テストプログラムなども移管され、正規メーカーと同じ製造方法、テストを行い出荷する。出荷時の型番も、ほとんどの製品で同じ型番で出荷する場合がほとんど。すなわち、オリジナルのメーカーと同一の製品を同一の品質で提供し続けられるという価値を認めてもらっている。


Rochester Electronicsが提供する主なサービス (クリックで拡大) 出典:Rochester Electronics

 価格についても、製品単体で見れば(EOL前よりも)割高にはなるが、半導体を手に入れられず設計変更を余儀なくされた場合の設計の手間や、エンドユーザーの承認を得る手間などを考えれば、割安になる。そういった意味で、適正な価格設定となっている。

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