連載
IoTサービスに対するモデリングの試行と得られた知見:JASA発IoT通信(9)(3/4 ページ)
組込みシステム技術協会(JASA)では、この課題解決への取り組みとして、2017年から「組込みIoTモデリングWG(ワーキンググループ)」を立ち上げている。今回は、これまで本WGにて実施してきた具体的なIoTサービスのモデリング結果と、そこから得られた各モデル、各手法の使い方、効果的な作成順序、実践からのプラクティスなどを紹介する。
ユーザーストーリー
ユーザーストーリーは、システムの具体的な流れをストーリーとして記載したものであり、具体的な要求を把握するためや、検証時のテストシナリオの元になる。
サービスの具体的な流れをストーリーとして記載することで、サービス内容の理解を深めるとともに、バリエーションも検討することが可能となった。
ユーザーストーリー「スマート内覧」
- 登場人物
- 内覧希望者:太郎さん、仲介業者A社
- 不動産管理会社:M社、S社
- サービス提供会社:L社
- オーナー:花子さん
- 登場デバイス
- スマートロック
- 内覧部屋にあるタブレット端末
- 内覧希望者が所有するスマートフォン
- サービス提供会社の管理サーバ
- ストーリー
- IoTスマート内覧(内覧予約〜内覧実施)
- ……
- ……
ユーザーストーリーの冒頭部分を一部抜粋
IoTスマート内覧(内覧予約〜内覧実施)
- 太郎さんは、引っ越しのために、物件を検索する
- 太郎さんは、ちょうど良い物件を見つけ、明日の午後3時に内覧予約を入れる
- 太郎さんは、内覧の日にスマホを持って出かけ、内覧を予約した物件まで移動する
- 太郎さんは、予約した物件の前で、スマホを使いロック解除を依頼する
- 物件のスマートロックが開錠し、開錠したことが太郎さんのスマホに伝えられる
- 太郎さんは、物件の中に入り、内覧する
- 部屋の中にあるタブレット端末から、案内が流れる
- 太郎さんは、全ての部屋に入ってみて、ベランダの外に出て眺めをチェックする
- 部屋の日当たりが気になった太郎さんは、タブレット端末から管理会社に問い合わせをする
- 日当たりは終日、良好ということを確認し、安心して内覧を続ける
- 太郎さんは、時間を忘れてじっくり内覧していると、タブレット端末から内覧時間終了の5分前であるというメッセージが流れてくる
- 太郎さんは、この部屋が気に入ったので、タブレット端末から入居申込書を記入し送信
- 内覧を終えて部屋から出て、スマートロックの施錠をスマホで依頼する
ユーザーストーリー「IoTスマート内覧(内覧予約〜内覧実施)」の部分
アクティビティ図
アクティビティ図は、SysML/UMLで使われる、ステークホルダやシステム間の時系列でのやり取りを記載したものである。
「内覧の予約(赤部分)」と「内覧開始から開錠(青部分)」で比較すると、スマート内覧の方がアクティビティを大幅に減らせていることが明確に分かる。
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