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パワエレで力を付ける中国、SiCで目立つ地元企業の台頭PCIM Asia 2018(4/5 ページ)

中国・上海で、2018年6月26〜28日の3日間にわたりパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Asia 2018」が開催された。三菱電機の中国法人は「5〜10年前では考えられないほど市場が伸びて、プレイヤーも増えてきている」と語る。SiC(シリコンカーバイド)パワーデバイスを手掛けるメーカーも増えてきた。PCIM Asia 2018の様子をレポートする。

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SiCのベンチャー企業

 中国・深セン市に拠点を置くShenzhen BASiC Semiconductor(以下、BASiC)も、SiCパワーデバイスの開発に力を入れる中国メーカーの1つだ。2016年に、パワーエレクトロニクスの関連技術を手掛けるShenzhen Bronze Technologiesと、SiCパワーデバイスの開発を手掛けるスウェーデンAscatronが設立した、ジョイントベンチャーである。

 BASiCがPCIM Asiaで展示したのは、同社独自の「3DSiC」技術である。もともとAscatronで研究開発されたエピタキシャルウエハーの技術だ。p層が表面ではなく内部に埋め込まれているのが特長だという。BASiCの製品開発部でマネジャーを務めるJun Sun氏は、「3D SiCを適用したウエハー(以下、3D SiCウエハー)を用いたパワーデバイスは、従来のSiCウエハーを用いた場合に比べてリーク電流が低く、電流密度が高い」と述べる。なお、3D SiC技術の開発に携わり、SiCエピタキシャルの専門家でもある、Ascatron Director Technology and SalesのAdolf Schöner氏は、BASiCのCTO(最高技術責任者)でもある。

Shenzhen BASiC Semiconductorのブースと、同社のJun Sun氏(クリックで拡大)

 BASiCは3D SiCウエハーをファウンドリーに提供し、ファウンドリーがMOSFETやJFETなどを製造する。Jun氏によれば、将来的にはウエハーの処理からデバイスの製造までを一気通貫で行うIDM(垂直統合型デバイスメーカー)のビジネスモデルに移行することも検討しているという。

左=6インチの3D SiCウエハー/右=4インチ3D SiCウエハーで製造した1200VのMOSFET(クリックで拡大)
左=6インチ3D SiCウエハーで製造した1200VのJBS(Junction Barrier Schottky)/右=3D SiCウエハーで製造した実際の素子(量産は開始していない)。250℃まで対応できるメタスケースや、TO-247、TO-220、TO-257といった一般的なパッケージを採用している(クリックで拡大)

 3D SiCウエハーは現在、一部の顧客に向けてサンプルを出荷しており、Jun氏によれば数カ月後には量産を開始する予定だという。現在はスウェーデンにパイロットラインがあり、量産は、6インチウエハーはスウェーデンで、4インチウエハーは中国で行う計画だ。

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