中堅研究員はAIの向こう側に何を見つけたのか:Over the AI ―― AIの向こう側に(23) 最終回(8/10 ページ)
約2年続いてきた本連載も、いよいよ最終回です。「中堅研究員はAIの向こう側に“知能”の夢を見るか」と名付けた第1回から2年間。筆者が“AIの向こう側”に見つけたものとは、何だったのでしょうか。
実例:「バーチャル江端」のダイエット計画
「バーチャル缶詰工場」戦略には、実例があるのですが、私には守秘義務があるので開示できません。そこで今回は、私が、週末研究員として独自で行った、この仮想戦略の一例をご紹介します(連載「数字で世界を回してみよう」のダイエット編から抜粋)。
まず、私は、パソコンの中に、体重だけをアウトプットとする、"バーチャル江端"を作りました。
"バーチャル江端"のアルゴリズムは極めて単純なもので、摂取カロリー、消費カロリーを入力して、体重の増減をシミュレーションするものでした。
上図の詳細は割愛しますが、この超シンプルな"バーチャル江端"(体重シミュレータ)は、私の体重の増減を100日後まで、かなり正確に予測しました。
これによって、私は「"バーチャル江端"は使える」と判断しました。
次に私は、この"バーチャル江端"に、AI技術の一つである、ファジィ推論のエンジンを搭載して、"バーチャル江端"に過食症や拒食症を発生させて、いつごろ、"バーチャル江端"が死亡するのかを推定してみました。
結果としては、"バーチャル江端"が、240日後に死亡するという予測が出てきましたが、これが本当に正しいかどうかは、実際に江端を拒食症にさせて、死ぬまで放置してみないと分からりません。ただ、この程度の簡単な仮想世界、現実世界、AI技術の連携でも、このくらいの予想はできてしまうのです。
そして、「そんな生活をしていれば、いつか死んでしまうよ」というよりも、「今の生活をしていれば、240日後に死ぬよ」と言う方に、説得力があることは、言うまでもありません。
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