中堅研究員はAIの向こう側に何を見つけたのか:Over the AI ―― AIの向こう側に(23) 最終回(9/10 ページ)
約2年続いてきた本連載も、いよいよ最終回です。「中堅研究員はAIの向こう側に“知能”の夢を見るか」と名付けた第1回から2年間。筆者が“AIの向こう側”に見つけたものとは、何だったのでしょうか。
やっぱり変な第3次AIブーム
今回の第3次AIブームは、第1次、第2次と同様にやっぱりどこか「変」です。私は、これまでの23回の連載の全てで、その「変」について語ってきました。下記の内容は、その「変」の内容を、特に4つに絞って記載したものです。
私が提言したいのは、「まず、ブームの外に出て、冷静になろう」ということです。このブームの中で踊っていても、あなたは幸せにはなれません。
もちろん、他の人も幸せになれませんが、それはどうでも良いのです。私は、この連載を読んで頂いている「あなただけ」を救えればそれで十分なのです。
では、私の考える、「Over the AI ―― AIの向こう側の私たち」の、最終戦略を申し上げます。
以上です。
この連載を読んで頂いている読者の方には、研究員やエンジニアだけでなく、会社の経営に直接携わっている方もいると思います。そのような方は、組織の運営や経営戦略について、気楽なことを、勝手にほざいている私(江端)のことを、不愉快に感じているかもしれません ―― というか、普通に、腹立ちますよね。
しかし、その気楽なエンジニアをやっている私からみても、陳腐な結論ではありますが、やっぱり「きちんと勉強をしましょう」になってしまうのです。
では、最後に、この連載を読み続けてくださった読者の皆さまに、最後にひと言申し上げて、本連載のトリを飾らせて頂きます。
どうか、この第3次AIブームを、誤りなく、無難に乗り越えて、「Over the AI ―― AIの向こう側」に、無事にたどりついて頂くことを、心よりお祈り申し上げております。
それでは、今回(最終回)のコラムの内容をまとめてみたいと思います。
【1】読者の方からの指摘を受け、前回の深層学習の畳み込みネットワーク(Convolutional Neural Network : CNN)に関する解説の修正を行いました(しかし、「エロ」のパラダイムに固執する姿勢は守りきりました)。
【2】今回の明らかな「ウソ」の記述に対する読者の皆さんの反応から、(A)AI技術に興味がない、(B)AI技術に対する知見を持っている人が少ない、(C)江端の記事など最初から信用していない、という3つの仮説を立て、その仮説を読み直して、一人で落ち込みました。
【3】この連載の名称「Over the AI ―― AIの向こう側に」の、「向こう側」にはこれまでと変わらない連続した日常があることを説明しました。ただし、その連続した日常を享受し続けるためには、これから新しく登場するPCやスマホのアプリやサービスに、しがみついて生きていくことが必須であるという、冷酷な事実を申し上げました。
【4】今回の第3次AIブームは、しょせんは「私たちは、踊らされるだけのピエロ」にすぎないと断言した上で、このブームに踊っている人たちを出し抜いて、このブームの後に、勝者として立っている方法について検討をしました。
【5】その方法とは、(A)「AI技術の研究開発」は、どこぞの大学や大手の企業にやらせて後発者利益を得て、(B)このブームのメリット(資金と時間)利用して、自社システムの仮想化を進め、(C)上記(A)で開発してもらったAI技術を使い倒す、という「AIブームの弱者戦略」を提案しました。
【6】本連載の最後に、「楽して儲かるAI技術」など、どこにも存在しないと断言して、読者の皆さんが、この第3次AIブームを、誤りなく、無難に乗り越えて、「Over the AI ―― AIの向こう側」に、無事にたどり着いて頂くことを願っている、と、お伝えました。
以上です。
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