AIの開発、半導体業界にとってますます重要に:どの企業も何らかの形で関わる?(1/2 ページ)
どの半導体メーカーが、何らかの形でAI(人工知能)分野に携わっているのかは、簡単にリストアップすることができる。ほぼ全てのメーカーが該当するからだ。機械学習(マシンラーニング)は、幅広い可能性を秘めているため、ほとんどの半導体チップメーカーが研究に取り組んでいる状況にある。
どの半導体メーカーが、何らかの形でAI(人工知能)分野に携わっているのかは、簡単にリストアップすることができる。ほぼ全てのメーカーが該当するからだ。機械学習(マシンラーニング)は、幅広い可能性を秘めているため、ほとんどの半導体チップメーカーが研究に取り組んでいる状況にある。こうした傾向は、特にネットワークエッジにおける推論処理の分野において顕著だ。
米国の技術分析会社であるReal World Technologiesでマイクロプロセッサ担当アナリストを務めるDavid Kanter氏は、「この分野では、ほとんど毎週のように、これまで知らなかった企業に出会う。中には、聞いたこともないような中国メーカーの名前もある」と述べる。
ディープニューラルネットワークは、「2012 ImageNetコンテスト」において、写真を見分ける能力が人間よりも高いアルゴリズムが登場したことを受け、注目を集めるようになった。同技術の活用分野で注目されたのがコンピュータビジョンである。
以来、AmazonやGoogle、Facebookなどの巨大IT企業は、深層学習(ディープラーニング)を映像や会話、翻訳などに適用するようになった。2017年には、何らかの形でニューラルネットワーク機能を搭載したスマートフォンの出荷数量が、3億台を超えるまでになった。また、2018年のデータセンター向けAIアクセラレーターの出荷数量は80万台で、現在では、毎日7億人の人々が、「Amazon Echo」やAppleの「Siri」などのスマートパーソナルアシスタント機能を使用しているという。
約50社が既にAIアクセラレーター関連の技術を発表
約50社のメーカーが既に、SoC(System on Chip)向けのIP(Intellectual Property)ブロックや、半導体チップ、システムなどの何らかの形態で、シリコンAIアクセラレーターの開発や発表を行っているという。
こうしたメーカーは、データーセンターサーバやスマートフォン、スマートスピーカーなど、さまざまな製品への搭載を目指すという目標を共有している。東芝の研究者たちが最近、センサーに組み込むために開発した、ニューラルネットワークアクセラレーターブロックに関する論文を発表していることからも、同技術の応用範囲がいかに広いかが分かるだろう。
RISCのベテラン共同開発者であるDavid Patterson氏は、「中核の技術は、現在も進化し続けている。AIに関する技術論文は、毎日約50本も発表されており、さらに増加する傾向にある。このような刺激的な分野は他にはないだろう」と述べる。同氏はかつて、Googleの「TPU:Tensor Processing Unit」の開発にも携わった経歴を持つという。
アナリストのKanter氏は、「機械学習は、新しいシステムアーキテクチャを採用している。例えば、未来の監視カメラは、CMOSセンサーの隣にディープラーニングアクセラレーターを搭載することにより、ローデータを、デジタルに変換してイメージプロセッサに送信する前に、アナログ領域で処理するようになる可能性がある」と述べる。
「理論的には、より優れた情報を利用できるということになる。ニューラルネットワークは、直観的でないアルゴリズムを使用する場合が多いため、デジタル処理の中で、ニューラルネットワークで把握できるはずのものが見逃されてしまう可能性があるという点を、考慮する必要がある」(同氏)
ベルギーの研究開発機関imecは、シングルビットの精度を利用したアクセラレーターの開発と並行しながら、機械学習アーキテクチャの分野で独自の実験を行っている。AIタスクにはどれくらいの精度レベルが理想的なのかをめぐる議論の中で、既成概念の枠を超えることを目指している。
Kanter氏は、「興味深いことに、どこで推論処理を行うのかについては全く意見が一致していない」と述べている。
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