帯域8GHzのオシロ、全チャンネル同時に25GS/sを実現:テクトロニクスが発表(1/2 ページ)
テクトロニクスは2018年7月17日、ミッドレンジのオシロスコープとして「6シリーズMSO(ミックスド・シグナル・オシロスコープ)」を発表した。全チャンネル(4チャンネル)をオンにしても8GHz帯域を使用でき、25Gサンプル/秒(GS/s)で信号を取り込める。
テクトロニクスは2018年7月17日、ミッドレンジのオシロスコープとして「6シリーズMSO(ミックスド・シグナル・オシロスコープ)」を発表した。周波数帯域は1GHz、2.5GHz、4GHz、6GHz、8GHzの5種類。アナログ4チャンネルを備え、最大サンプルレートは25Gサンプル/秒(S/s)である。テクトロニクスは、2017年に「5シリーズMSO」を発表していて、6シリーズMSOは、この5シリーズMSOをベースにしたものとなる。主に、組み込み機器をターゲットとする。
全4チャンネル同時で25Gサンプル/秒を実現
6シリーズMSOの最大の特長は、全チャンネル(4チャンネル)をオンにしても8GHz帯域を使用でき、25GS/sで信号を取り込めることだ。既存のオシロスコープの多くは、8GHz帯域や高速サンプルレートをうたっていても、全てのチャンネルを使う場合、サンプルレートと帯域が半分になってしまう。サンプルレートを高速化するために、オシロスコープの内部にインタリーブ方式を採用しているからだ。6シリーズMSOでは、一般的なインタリーブ方式を使用しているわけではないという。ただし、「内部の正確な内部構造は明かせない」(テクトロニクス)としている。
例えばDDR3メモリの特性評価では、システムクロックに加えて最大64チャンネルのデータを取り込む必要がある。メモリ転送速度が1600MT/s(メモリトランザクション/秒)のシステムでは、正確に測定するために、最低でも6.7GHzの周波数帯域が必要になってくる。「4チャンネル全て使用しても8GHzの帯域を確保できる6シリーズMSOでは、システムクロック+3つのデータラインを観測することができるので、デバッグの効率が上がる」(テクトロニクス)
6シリーズMSOでは、低ノイズも実現している。フロントエンドASIC、具体的にはA-Dコンバーターの前段に置くアンプを新たに開発することで、テクトロニクスの従来品「MSO5000シリーズ」などに比べて、1mV/divにおけるノイズを75%以上削減することに成功した。4GHz、50Ω、1mV/divにおけるRMSノイズは104μVと低い。これにより、微小な信号を正確に測定できるようになる。
垂直分解能は12ビットだが、「ハイレゾ・モード」により16ビットまで分解能を向上することも可能だ。16ビットの時の帯域とサンプルレートは、200MHz、625MS/sとなる。
テクトロニクスは、5シリーズMSOと6シリーズMSOのすみ分けについて、「大きな違いは、5シリーズMSOでは、4、6、8チャンネルを用意していることだ。そのため、電源など多くの信号を一度に見るようなアプリケーションに向いている。ただ5シリーズMSOの周波数帯域は最高で2GHzなので、アプリケーションによっては周波数帯域が不足する。一方で6シリーズMSOは、4チャンネル全てを使用しても8GHz、25GS/sで信号を取り込めるため、広帯域の信号を正確に測定できる。どちらも組み込み機器開発でのデバッグがターゲットであることは同じなので、必要に応じて選んでもらえれば」と説明した。
タッチパネルを搭載した外観とサイズは5シリーズMSOを踏襲。ただし、6シリーズMSOはチャンネル数が4と少ないので、外部トリガ入力を設けた。また、トリガ機能として、グラフィックエリアでトリガを設定できる「ビジュアル・トリガ」を新たに搭載し、トリガをかけやすくなっている。
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