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「3D XPoint」、Intelは強気もMicronは手を引く?共同開発の終了で(1/2 ページ)

IntelとMicron Technology(以下、Micon)が、共同開発プログラムを終了する予定であると発表した。両社が共同開発しているメモリ「3D XPoint」の将来に何が待ち受けているのかは、誰にその問いかけをするかによって答えが異なるだろう。

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共同開発を終了へ

 IntelとMicron Technology(以下、Micon)が、共同開発プログラムを終了する予定であると発表した。両社が共同開発しているメモリ「3D XPoint」の将来に何が待ち受けているのかは、誰にその問いかけをするかによって答えが異なるだろう。

 または、誰に問いかけをしないかにもよるといえる。Micronは今のところ、Intelと共同で2018年7月16日の週に発表したニュースリリースの中で述べたこと以外は、何も明らかにしていない。リリースでは、「IntelおよびMicronは2019年前半に、第2世代の3D XPoint技術のための共同開発を完了する見込みであるとのことで合意した。3D XPointの枠を超える技術に関しては、両社が個々に開発に取り組むことにより、それぞれの製品やビジネスニーズを最適化していくことを目指す」と述べられている。


「3D XPoint」のダイ

 Intelは現在も、この技術開発に強気の姿勢を見せている。Intelの不揮発性メモリソリューショングループ担当バイスプレジデントを務めるBill Leszinske氏は、EE Timesの電話インタビューの中で、「Intelにとって、(3D XPointの開発を)続けていくのは当然のことだ」と述べた。

 同氏は、「3D XPoint技術を採用したメモリ『Optane』は、サーバ向けDIMMだけでなく、サーバおよびクライアントデバイスの高性能ストレージに対しても多くの採用機会を見いだしている」と述べる。

 Leszinske氏は、Intelが、パートナー企業と共同で選択した3D XPoint技術の方向性を確信していることを強調した。「われわれは、3D NANDと同じように、自ら選択した浮遊ゲート(フローティング・ゲート)の方向性を信じている。Micronも、『最終的に自分たちの進むべき、別の方向性がある』と語っている」(同氏)

共同開発解消の課題はコストか

 Leszinske氏は、「Intel/Micronパートナーシップが段階的に縮小することによって生じる最も大きな影響は、両社がそれぞれ独自の技術開発資金を全面的に自社で賄う必要があるという点だ。同氏はこれについて、Intelが2018年5月に発表したDIMMモジュール版のOptaneとなる「Optane DC Persistent Memory」の開発も含め、3D XPoint技術の開発には非常にコストが掛かることを認めている。なお、Optane DC Persistent Memoryは現在、顧客企業にサンプル出荷されているところだ。2018年後半には製造を開始し、2019年には広く提供されるようになる見込みだという。

 3D Xpointは今のところ、SSDにしか搭載されていない。Leszinske氏は、「われわれの今後の方向性として、Optaneと低コストの3D(3次元) NAND型フラッシュメモリを維持していく考えだ」と述べている。


NANDフラッシュメーカーの業績。Intelだけが低迷している 出典:Objective Analyst(クリックで拡大)

 Leszinske氏は、「Optaneの特長は高性能および低レイテンシで、NANDフラッシュの特長は高密度と手ごろな価格だ。HDDを置き換えることで、顧客のデータセンターの運用コストを削減したり、クライアントデバイスの性能を高めたりすることができる」と説明している。同氏は、「HDDのバルク品の置き換えとストレージの拡張に向けた多層積層によって、たとえ性能面での向上がそれほど大きくないとしても、コストの低減を目指すことができ、顧客の業績改善につながると考えられる」と語った。

 IntelのOptaneは、実際に使用されている。その一例として、イタリアのUniversity of Pisa(ピサ大学)では、MRI(磁気共鳴画像法)だ。MRIの検査時間が40分から2分に短縮されたことで、閉所恐怖症の患者から高く評価されているという。Leszinske氏は、「これは、われわれが予想していなかった素晴らしい成果だった。この他にもたくさんの喜ばしい改善事例がある」と述べている。

 Intelの3D XPointに対する情熱は、同技術を初めて発表したときから変わっていないように見える。当時は、3D XPointについてさまざまな臆測があったものの、当初からSSDやDIMMへの搭載が期待されていた。

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