「HDMI 2.1」 8K対応や動的HDRなど新機能を振り返る:対応製品の登場も間近(2/2 ページ)
「HDMI 2.1」は、テストスペックの仕様書が2018年第2〜第3四半期に段階的に公開される予定であり、実際に製品が市場に出てくるのは間近だと考えられる。そこで、HDMI 2.1の特徴的な機能を振り返ってみたい。
新しいケーブル技術
このような高解像度の映像伝送を実現するのが、新しいケーブル「Ultra High Speed HDMI Cable」である。HDMI 2.1で策定された、最新のケーブル技術だ。HDMI 2.0では伝送速度が最大18Gbpsだったが、48Gbpsまで高速化されている。
8K/60Hz/444の信号を伝送するためには、64Gbpsが必要になる。このままではUltra High Speed HDMI Cableでも送ることができないので、圧縮技術が必要だ。それが、「DSC(Display Stream Compression)」である。DSCは、もともとはVESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)が策定したもので、DisplayPort 1.4でも使える技術だ。エンコーダーまたはデコーダーをハードウェアとして機器に実装するので、人間の目で見ても劣化が分からないレベルに、ほぼリアルタイムで圧縮できる。アリオンによると、DSCによって約3分の1にまで伝送レートを下げることができるという。DSCを使うことで、8K/60Hz/444の信号を伝送できることになる。
なお、レコーダーやディスプレイ、TVなどにDSCの機能を実装するには、DSC向けに新しく開発したエンコーダーチップとデコーダーチップが必要になる。
データチャンネルはクロック埋め込み方式に
HDMI 2.1向けに新しく開発された伝送技術が「FRL(Fixed Rate Link)」である。HDMI 2.0では、TMDS(Transmission Minimized Differential Signaling)と呼ばれる伝送方式が採用されている。データ送信用3チャンネル+クロック送信用1チャンネルの、計4チャンネルで送信する方式だ。データ送信用はそれぞれ最大6Gbpsの帯域しか実現できないので、HDMI 2.1では足りなくなる。FRLでは、クロック送信用がなくなり、4チャンネル全てがデータ送信用になっている。各チャンネルの伝送レートは最大12Gbpsだ。
FRLでは、クロックはデータ送信用の各チャンネルに埋め込まれている。さらに、TMDSではクロック周波数が可変だったが、FRLでは、“Fixed Rate”という名前の通り固定になる。これにより、HDMI 2.1向けのチップを開発するメーカーにとっては、チップを開発するという利点があるとアリオンは説明している。
HDMI 2.1では、HDMI 2.0に比べて機能が大幅に増えたので、コンプライアンステストの項目も多くなる。
産業分野などでもHDMIに移行
アリオンによると、HDMI 2.0だけでなく、その1つ前の世代であるHDMI 1.4も、まだまだ“現役”だという。「特に最近では、産業分野や自動車分野でも、インタフェースがどんどんHDMIに移行している。産業分野ではFA(Factory Automation)機器など、自動車分野ではカーナビゲーションシステムや車内テレビといった具合だ。こうした分野だと、4K/60Hzなどの信号を伝送する必要はないので、HDMI 1.4や2.0でも十分なケースが多い。コンプライアンステストの仕様策定が完了し、実際にテストが始まったとしても、一気にHDMI 2.1への移行が加速するわけではないとみている」(アリオン)
同社は、「HDMI 2.1は追加された機能が多いので、興味を持っている機能は業界によって異なってくる」と付け加えた。
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