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QualcommがNXPの買収を断念、中国の承認が時間切れこれ以上は延期できず

Qualcommは2018年7月26日(米国時間)、中国当局の承認を待たず、NXP Semiconductorsの買収を断念すると発表した。これによりQualcommは、同年7月26日にNXPに違約金20億米ドルを支払う。

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 Qualcommは2018年7月26日(米国時間)、中国当局の承認を待たず、NXP Semiconductorsの買収を断念すると発表した。これによりQualcommは、同年7月26日にNXPに違約金20億米ドルを支払う。

 Qualcommは、2016年10月にNXPの買収について発表して以降、各国の当局の承認を待機中との理由で数回にわたり買収完了を延長していたが、2018年7月25日の早い段階で、締め切りを再度延長することはできないと述べた。

 QualcommのCEO(最高経営責任者)であるSteve Mollenkopf氏は、7月25日に開催したアナリストとのカンファレンスにおいて、「NXP抜きに前進することは、われわれにとって困難な決断だった」と述べた。

 中国商務省(MOFCOM)は、正式に提案された買収を拒否しなかったが、水曜日(7月25日)の締め切りまでに承認しなかった。QualcommとNXPは2018年4月に、同省の要請により、承認申請をいったん取り下げ、再提出することで合意していた。

 QualcommとNXPのM&Aにおける中国の承認の遅れは、全面的な貿易戦争に突入した米中間の緊張の高まりの影響を受けたものと解釈されている。

 トランプ米大統領は2018年7月、340億米ドル相当の中国輸入品に25%の関税を発動し、さらに160億米ドル相当の中国製品に対して同等の関税を賦課することを提案している。

 米中間の経済的緊張は、中国の大手通信機器メーカーZTEへの部品販売を禁じた措置によっても、高まっている。ただしトランプ大統領は、この措置を緩和する姿勢を示している。

 QualcommによるNXPの買収は、Qualcommの中核事業である携帯電話機向けチップ事業を超えて、自動車とIoT(モノのインターネット)に向けて、より多くの製品を提供することで、Qualcommという企業を多様化させる大胆な戦略だった。今回の買収断念により、Qualcommがどのように新たな成長路線を探るのは、まだ不透明だ。同社は、最大300億米ドルの自社株買いを行う計画だ。

 Mollenkopf氏は、「NXP買収の狙いは、モバイルコンピューティングが普及しつつある分野への参入を加速することだった。別市場に参入するという戦略自体は、変わらない」と述べている。

 Qualcommは、反トラスト規制に違反したとしたとして複数の国と地域で調査され、罰金を科されている。長年の顧客であるAppleとも、訴訟合戦が続いている。Qualcommは7月25日に、両社間の法廷係争が続いている今の状態を鑑みると、次世代「iPhone」には、Qualcommのベースバンドプロセッサは搭載されないだろうとの見方を示した。

 ただ、こうした混乱が続いているにもかかわらず、Qualcommの2018年第3四半期(6月24日を末日とする)の業績は、アナリストの予想を上回るものとなった。同四半期の売上高は56億米ドルで、前四半期比で6%の増加となった。利益は12億米ドルで、前年同期比で41%増を達成している。一方でQualcommは、2018年第4四半期については、売上高が前年比で14%も減少するとの予想を述べた。

【翻訳、編集:EE Times Japan】

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