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米半導体業界、中国に対する関税措置第2弾に反対「米国企業の競争力にダメージ」

米国の半導体メーカーと半導体製造装置メーカーは、米トランプ政権に対して、25%の関税措置の対象となっている160億米ドル相当の中国からの輸入品のリストから39の製品カテゴリーを削除するように求めた。

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 米国の半導体メーカーと半導体製造装置メーカーは、米トランプ政権に対して、25%の関税措置の対象となっている160億米ドル相当の中国からの輸入品のリストから39の製品カテゴリーを削除するように求めた。

 米貿易委員会(ITC:International Trade Commission)は2018年7月24日、トランプ政権が表明している関税措置に関してパブリックコメントを求める公聴会を開き、半導体産業協会(SIA)とSEMI貿易グループが証言した。SIAの見積もりによると、この関税措置は、米国が中国からの輸入している36億米ドル相当の半導体と、半導体サプライチェーンに関連する27億米ドル相当の製品に影響するという。

「米国の半導体企業の国際的な競争力を弱らせる」

 SIAは、公聴会に先立って提出した書類の中で、「現時点で対象とされている半導体と半導体関連製品に関税を課すことは、半導体分野における米国のリーダーシップを損ない、米国の半導体企業の国際的な競争力を弱らせ、中国における米国企業の市場シェアを脅かすことになる」と主張している。SIAは、「この関税案は、米国の輸出と雇用に打撃を与え、米国の消費者向け製品の価格の高騰につながる」と続けている。

 SIAはさらに「半導体と半導体関連製品の輸入に関税を課すことは、米国が反競争的とみなしている中国の政策や慣習の阻止にはつながらず、米国企業が自社製品に対して関税を支払うことになる」と主張している。

 SIAは、「中国から輸入される半導体の大部分は、米国で設計または製造され、テストやパッケージングのために中国に出荷されたものであり、中国から輸入される半導体のデータはミスリードされている」と述べている。


2017年の世界半導体販売における国・地域別比率 出典:SIA

 SEMIは、提出書類の中で、「米国の半導体製造装置メーカーはほとんどが中国から部品を購入しているため、関税措置によって不当な不利益を受けることになる」とSIAと同様の主張をしている。SEMIによると、半導体製造装置の部品や材料の多くは、米国のベンダーからは提供されておらず、中国以外の企業からは広く入手することが難しいという。

 SEMIは提出書類の中で、「この関税措置は、米国企業の競争力にダメージを与えると懸念される。米国の半導体製造装置メーカーのコストは上昇するが、米国以外の競合企業のコストは変わらないからだ。この関税措置は、米国以外の企業に有利に働くことになる」と指摘している。

 トランプ政権は、3750億米ドルの対中国貿易赤字の削減について中国との協議に至らなかったため、2018年7月初旬から中国から輸入している約340億米ドル相当の製品(その大半は技術関連製品)に25%の関税を課している。

【翻訳:滝本 麻貴、編集:EE Times Japan】

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