“次世代ヘルメット”を提案、B2C市場に舵を切るJDI:HUDや透明ディスプレイを搭載(1/2 ページ)
ジャパンディスプレイ(JDI)は2018年8月1日、戦略発表会「JDI Future Trip〜 First 100 Days 〜」を開催。登壇した同社CMO(チーフマーケティングオフィサー)の伊藤嘉明氏は、JDIが最終製品市場へ踏み込むことと、B2C市場を見据えた「継続課金」のビジネスモデルを検討中であることを明らかにした。
ジャパンディスプレイ(JDI)は2018年8月1日、戦略発表会「JDI Future Trip〜 First 100 Days 〜」を開催。登壇した同社CMO(チーフマーケティングオフィサー)の伊藤嘉明氏は、JDIが最終製品市場へ踏み込むことと、B2C市場を見据えた「継続課金」のビジネスモデルを検討中であることを明らかにした。
同イベントでは、一般販売が決定している製品からコンセプトモデルまで、ディスプレイの新しい用途を提案する複数の製品展示を行っていた。本稿では、「ヘッドアップディスプレイ(HUD)を搭載したヘルメット」や「シールドに透明ディスプレイを装着したヘルメット」「3D映像を体験できるAI(人工知能)時代のディスプレイ」を紹介する。
映像を投影する2種類のヘルメット、HUDと透明ディスプレイ
同イベントでは、ヘルメット着用者の視界に映像を投影するヘルメットが2種類展示された。1つ目が、液晶方式によるHUDを採用し着用者に映像情報を虚像で見せる「HUD搭載ヘルメット」。2つ目が、高透過透明ディスプレイをヘルメットシールドに重ねて設置し、着用者に映像情報を実像で見せる「透明ディスプレイヘルメット」だ。
HUD搭載ヘルメットは、ヘルメット内部にバッテリー、駆動用回路、低温ポリシリコン(LTPS)液晶パネル、光学系とHUDの動作に必要なユニット一式を埋め込み、バイクやスマートフォンなどのデバイスを接続して各種情報を投影表示する。JDIでは、バイクライダーやサバイバルゲームなどの各種スポーツ、建設・警備現場などでの用途展開を見込む。
バイクライダー用ヘルメットとしては2019年内の市販化を目標として開発中であり、「(JISやSNELLなどのヘルメット)安全規格の認証を取得する予定」(同社担当者)。アフターパーツとして単体での製品化についても検討中としている。また、HUDによる虚像の見え方については「開発中のため答えられない」とのことだった。
一方、透明ディスプレイヘルメットはフォーミュラカーレース「スーパーフォーミュラ」に参戦するチーム「DANDELION RACING」と連携し開発を進めている。モータースポーツでは、エンジンマッピング調整やラップタイム管理などで手元付近を見る機会が多く、ドライバーは頻繁に視線移動を行っている。そこで、ギアポジションやラップタイムなど、ドライビングに関わる情報を視線移動が少ない視野領域に表示することでドライバーの負荷を軽減することを狙う。
この透明ディスプレイは、カラーフィルターと偏光板を取り除くことで透過率80%を達成。実際のレースを想定したテスト走行を富士スピードウェイで実施し、ドライバーから見え方などのフィードバックを得た。ドライバーからのフィードバックについては、「おおよそ好評だったが、表示領域とコース上を見る場合で目の焦点を都度合わせる必要がある」(同社担当者)と指摘があったとし、この課題については「実像の作りこみや光学系の調整で改善を行っている」とした。
現在、特定のヘルメットメーカーとの協業関係はないとするが、同社担当者は「今後は協業を考えていきたい」と話す。また、ヘルメットとは異なる製品領域で「ある会社と共同開発をしており、透明ディスプレイを活用した製品を2019年に発表する予定」としている。
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