TI、複数の産業用イーサネットに1チップで対応:PRU-ISCCを内蔵したプロセッサ
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、「産業オープンネット展」で、複数の産業用イーサネットプロトコルに対応するSitaraプロセッサを用いた産業用ネットワークのデモ展示を行った。
リアルタイム機能を追加するTSNにも対応
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、「産業オープンネット展」(2018年7月25日、東京都大田区産業プラザPiO)で、複数の産業用イーサネットプロトコルに対応するSitaraプロセッサを用いた産業用ネットワークのデモ展示を行った。また、イーサネットの拡張規格であるTSN(Time-Sensitive Networking)機能も紹介した。
日本TIは、産業用オートメーション向けに、20種類以上の異なる産業用イーサネットプロトコルに1チップで対応できるSitaraプロセッサを始め、システム開発を容易にするレファレンスデザインキットなどを提供している。
Sitaraプロセッサは、Cortex-A15やCortex-A9などのCPUコアとは別に、PRU-ISCC(Programmable Real-time Unit and the Industrial Communication Subsystem)をハードウェアブロックで搭載している。PRU-ISCCは専用のRAMとROMを備えたプログラマブルRISCコアで構成されているという。
レファレンスデザインライブラリ「TI Designs」で提供されるPRU-ISCC用のマルチプロトコル検出ファームウェアを用いると、「EtherNet/IP」や「EtherCAT」「PROFINET」「Sercos III」「PowerLink」といった、標準的な産業用イーサネットプロトコルを検出してその種類を識別。その上で、スタートアップ時に適切なアプリケーションをロードする仕組みだ。
ブースでは、Sitaraプロセッサを搭載した産業用開発キットや産業用通信エンジンを用いて産業用ネットワークを構築。マスター機器とスレーブ機器を想定したシステムでPROFINETとEtherCATのマルチプロトコルに対応したゲートウェイなどのデモを行った。
また、上位サーバとのネットワークに対応するための「OPC-UA」もサポートしている。OPC-UAは、エッジコンピュータと管理用コンピュータ間においてデータ交換を行うための標準規格で、ブースではワイヤレス通信によるネットワーク環境を紹介した。
もう1つ同社が強調したのが、Sitara AM57xxによるTSNソリューションである。産業オートメーション用TSNは、リアルタイム機能を標準のイーサネットに追加することができる。TIは2018年のハノーバー・メッセで「PROFINET over TSN」のデモを行ったという。
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