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日本の製造業が「モノ」から「コト」へ移行するための必要条件大山聡の業界スコープ(8)(1/3 ページ)

このところの半導体/エレクトロニクスをけん引しているのは、クラウドである。そして、そのクラウドの普及をけん引しているのは、消費者のニーズが「モノ」から「コト」へと移り変わったことにある。そうした中で、モノづくりを得意としてきた日本の製造業は、「コトづくり」に移行できるのだろうか。

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なぜ実感が乏しいのか? 半導体/エレクトロニクスの好況

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 半導体を中心とするエレクトロニクス業界では、相変わらず景気の良い話や強気な見通しが主張されることが多い。一方で、主要アプリケーションであるスマホやPCが飛ぶように売れている話は聞かないし、一般消費者として「この電子機器が売れている」というけん引役も見当たらない。

 久々に20%超の成長を記録した昨年(2017年)の半導体市場も「なぜ、そんなに伸びたのだろう」と不思議に感じた人も多いのではないだろうか。市場が拡大した理由が実感できなければ、今後の見通しも心配だし、自社が何をすべきかも判断しにくい。今このタイミングで、エレクトロニクス市場関係者の一員として、われわれが考えるべきこと、注力すべきことについて、筆者がここで整理してみたいと思う。

 2018年1月に掲載した本連載記事(=サーバ、スマホ、そしてIoTで高成長を維持! 電機/半導体業界2018年展望)でも述べたが、2017年の半導体好況は、クラウドコンピューティング(以下、クラウド)のインフラであるサーバ/データセンター向けの需要が旺盛だったことが特徴である。Amazon、Microsoft、IBM、Googleといった大手クラウド企業をはじめとするサービス提供業者が半導体需要を押し上げたわけだ。

 2018年に入ってからも同様の市況が続いており、メモリを中心に市場は好調に推移している。だが、Samsung Electronicsが設備投資を下方修正した。この修正は短期的な調整なのか、いわゆるシリコンサイクルの下降局面を示唆しているのか。筆者としては、クラウドインフラ向けの投資は当面拡大傾向が続くだろうと予想しており、前者の見解を支持している。ただ、ここで申し上げたいのは、こうした動きが消費者の立場からは見えにくい、ということである。

最大のけん引役は「クラウド」

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 スマホなどの電子機器需要は、現在の半導体市況を説明できるほど好調に推移しているわけではない。最近では自動車や産業機器向けの半導体需要が好調ではあるが、半導体市場全体から見れば合計で2割程度の規模でしかない。クラウドインフラ向けの需要が最大のけん引役となっている、というのは疑う余地のない現実なのだ。

 クラウドの普及に拍車をかけているのはIoTを活用したサービスの拡大である。IoTについては本連載でも何度か述べてきたが、われわれ消費者のニーズが「モノ」から「コト」へと移行していることを如実に表していると思われる。

 この点を少し補足すると、消費者が求める価値が「モノの所有」から「機能の利用」や「価値の体験」へと移行し、モノだけでなく、モノを活用したサービス(つまり「コト」)の展開に変わりつつある、ということである。

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