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車載通信、高まるマルチギガビットへの要求標準化団体も具体的に動いている(1/2 ページ)

レベル4およびレベル5の自動運転車開発メーカーは現在、マルチギガビット/秒クラスの通信速度を持つ車載コネクティビティの実現を要求している。これを受け、あらゆる業界団体や標準化団体は、そうした要件に沿った技術を開発する体制を整えているという。

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マルチギガビット通信への要求

 モバイル業界はつい最近まで、半導体メーカーをまるでイヌのように手なずけて要件をのませるポジションにいた。だが、このポジションは、自動車業界が取って代わったようだ。

 レベル4およびレベル5の自動運転車開発メーカーは現在、マルチギガビットの通信速度を持つ車載コネクティビティの実現を要求している。これを受け、NAV(Networking for Autonomous Vehicles)やMIPI Alliance、HDBaseTグループなどのあらゆる業界団体や標準化団体は、そうした要件に沿った技術を開発する体制を整えているという。

 もちろん、完全な自動運転車は、まだ実現していない。しかし、自動車が取り込むデータ量は、ビジョンセンサーやライダー(LiDar)、レーダーなどの高解像度センサーの存在によって、大幅に増大する見込みだ。このため、データセンターやエンタープライズインフラなどに向けた高速接続技術の開発を手掛けるあらゆる業界団体が、自動車市場において絶好のチャンスを得ることになる。


Aquantiaが描く、将来の車載ネットワーク 出典:Aquantia(クリックで拡大)

MIPIも開発

 モバイル業界向けインタフェース規格の開発を手掛けるMIPI Allianceは2018年7月、自動車業界の高速データインタフェース規格に対応すべく準備を進めていることを明らかにした。同社は既に、MIPI A-PHY規格の開発に着手していて、伝送距離が最大15mの12G〜24Gビット/秒(bps)の物理層への対応を目指している。MIPI A-PHY v1.0は、2019年末ごろに、開発メーカー向けに利用可能となる見込みだ。

 HDBaseTグループは2018年7月に、デンソーが賛助会員として参加したことを明らかにした。

 HDBaseTはもともと、非圧縮のHD(High Definition)映像やオーディオ、電力、ホームネットワーク、イーサネット、USB、制御信号などをCAT 5ケーブルで伝送するための民生機器および商業コネクティビティ規格だった。現在は、自動車向けバージョンの「HDBaseTオートモーティブ」規格もある。


HDBaseT Automotiveのネットワーク 出典:Valens Semiconductor

 イスラエルの半導体メーカーValens Semiconductorのシニアバイスプレジデントであり、自動車部門の責任者を務めるMicha Risling氏は、最近行われたEE Timesのインタビューの中で、「HDBaseTは現在、安価で柔軟性に優れ、設置も容易な非シールドツイストペアケーブル上で、2Gbpsの帯域を提供することができる。また将来的には、4G/8G/12G/16Gbpsのバージョンを提供できるようになる見込みだ」と述べている。

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