膨張を続けるデジタルデータをNANDフラッシュが貯蔵:福田昭のストレージ通信(113) 3D NANDのスケーリング(1)(1/2 ページ)
2018年5月に開催された「IMW(International Memory Workshop)」のショートコースで行われた技術講座から、「Materials, Processes, Equipment Perspectives of 3D NAND Technology and Its Scaling(3D NAND技術とそのスケーリングに関する材料とプロセス、製造装置の展望)」の概要をシリーズでお届けする。
拡大を続けるデジタルデータの生成速度
半導体メモリ技術に関する国際会議「IMW(International Memory Workshop)」では、カンファレンスの前日に「ショートコース(Short Course)」と呼ぶ1日間のセミナーを開催している。今年(2018年)5月に開催されたIMWのショートコースでは、9件の技術講座(チュートリアル)が午前から午後にかけて実施された。その中から、3D NANDフラッシュメモリ技術に関する講座「Materials, Processes, Equipment Perspectives of 3D NAND Technology and Its Scaling(3D NAND技術とそのスケーリングに関する材料とプロセス、製造装置の展望)」がとても参考になったので、その概要を今回からシリーズでお届けする。講演者は半導体製造装置の大手ベンダーApplied MaterialsのSean Kang氏である。
なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。
チュートリアル講演「Materials, Processes, Equipment Perspectives of 3D NAND Technology and Its Scaling(3D NAND技術とそのスケーリングに関する材料とプロセス、製造装置の展望)」のアウトライン。出典:Applied Materials(クリックで拡大)
Kang氏は始めに、デジタルデータを発生させる原因の変遷を2000年以降の時間軸で振り返った。2000年代は、パソコン(PC)とインターネットがデジタルデータの主な発生源だった。2010年代に入ると、モバイル機器とソーシャルネットワーキングが新たなデータ発生源として加わった。そしてすぐに訪れる2020年代は、人工知能(AI)とビッグデータが新たなデータ発生源として加わると予測する。
データの生成速度はどのくらいだろうか。人口が100万人の都市を仮定すると、1日に約200M×GBのデータが生成されると予測する。2020年までには、データの生成速度はこのくらいの規模になる。具体的には、ビルディングが55M×GB、工場が50M×GB、公共の安全を維持するシステム(監視カメラなど)が50M×GB、自動車が40M×GBといった規模に達するという。
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