「iPhone XS」を解剖 ―― iPhone Xから変わった部品配置:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(29)(1/3 ページ)
今回から、2018年9〜10月に発売されたAppleの新型スマートフォンの内部の様子を紹介していこう。「iPhone XS」では、L字型の異形電池を搭載した他、前モデルの「iPhone X」から部品配置が変わっていたりする。
筆者が代表を務めるテカナリエでは、2018年9月21日に発売されたAppleのスマートフォン「iPhone XS」「iPhone XS Max」、同年10月26日発売の「iPhone XR」の3機種は、いずれも発売当日に複数台を入手し、分解を行った。既に数百ページに及ぶ解析レポートを作成し、顧客向けに発行している。レポートには各分解工程を写真撮影し、搭載部品の一つ一つを拡大して掲載している。当然ながら、主要チップはパッケージから取り出しシリコン観察も行った。レポートの他にも、いろいろなセミナーで綿密な構造解析などを紹介している。すでに9〜10月の2カ月間だけでも6回、iPhone XSを扱った技術セミナーを行わせてもらった。
さて、本連載でも、今後2回ほどにわたってiPhone XSの内部を一部ではあるが紹介していくことにする。
年に数回あるか、ないかの驚き
図1は左がiPhone XSの外観、中央がディスプレイを取り外したところ、右が取り出した電池の表皮を取り除いた様子である。
内部の基本配置は「iPhone 4」から伝統の配置といえる。下部にスピーカー、左が電池、右が処理基板、上部がカメラという構造である。注目は2017年発売の「iPhone X」から採用されたL字型電池だ。iPhone Xでは2つの電池を組み合わせてのL字形状であったが、XSでは異形状のL字電池を用いている。テカナリエは年間300製品を分解している会社であり、多くの電池を見てきたが、このような異形はお目にかかったことがない。実際の分解時には年に数回あるかないかの大きな驚きを覚えたほどである。ちなみに発行済みの有償レポートでは電池をさらに一枚一枚分離しての構造も解析し報告している。
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