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パナソニックの意外な資産、体にかかる負担を可視化するツール他社からも依頼が来る(1/3 ページ)

パナソニックは、同社の100周年を記念して開催している全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月2日、東京国際フォーラム)で、未来の暮らしや社会に向けたテクノロジーを紹介する総合展示を行っている。

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 パナソニックは、同社の100周年を記念して開催している全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月2日、東京国際フォーラム)で、未来の暮らしや社会に向けたテクノロジーを紹介する展示を公開中だ。モビリティや製造現場、モノづくりのための要素技術、未来の住宅、公共機関向けなど7つのゾーンを設け、それぞれに向けてパナソニックが手掛ける技術をデモ展示している。

体にかかる負荷もデジタル化、商品開発に役立てる

 「TECHNOLOGY INNOVATION」のゾーンでは、日常生活の動作などをデジタル化し、得られたデータを基に価値創造を行うツールなどを提案する。

 研究開発向けのデジタライゼーションとしては、人間がある動作をしたときに、体のどこに負担がかかっているかを可視化できるシミュレーターを展示した。展示エリアでは3台のカメラを使い、人の姿勢をリアルタイムで撮影している。姿勢から、体のどこに負荷がかかっているかをソフトウェアで算出する。

左・中央=デモではこのように、人間がかがんだり立ったりしながら歩いていく/右=その動作から、体にかかっている負荷を算出することができる。「100%」や「17%」という数字は負荷の度合いを示していて、数字が大きいほど負担がかかっている(クリックで拡大)

 パナソニックは約15年前から、商品開発にこうしたシミュレーターを使用してきた。例えばキッチンを設計する時は、棚をどのくらいの高さに設置すれば、物を取るときに最も負担が少なくなるか、といったことをシミュレーションするのである。加速度センサーなどを装着した人でシミュレーションすることもあれば、コンピュータ上のみでシミュレーションをすることもある。

 このシミュレーターの最大の“資産”は、シミュレーターそのものよりも、これまでのシミュレーションで蓄積してきた膨大な量のデータである。どのような動作をしたときに、体のどこにどれだけ負担がかかるのか。そのようなデータベースを持っているのはパナソニックだけではないか、と説明担当員は述べる。実際、自動車メーカーなど、他社からシミュレーションの依頼も受けるという。

 同じゾーンに展示されている「Physical Mirror」は、ビデオカメラを使った顔認証技術だ。あらかじめ顔の画像を登録しておくと、カメラでリアルタイムに顔を認識し、性別や年齢、体の動きの他、顔の血色から心拍を推定できるようになっている。パナソニックによると心拍の精度は、まだ向上する必要があるが、性別と年齢については推定の精度がかなり高くなっているという。「想定するアプリケーションは幅広く、例えば血色が悪いと判断したら、栄養のあるメニューをお勧めするといった使い方も可能だと考えている」(パナソニック)

 デモでは、「ソファに座る」「料理をする」といった動きも検出できていた。パナソニックは、「人を監視するための技術ではなく、人の生活スタイルを理解して、暮らしの質を高めるための提案」と強調した。


「Physical Mirror」のイメージ(クリックで拡大)

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