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パナソニックが打ち立てるAI活用の“方程式”Society 5.0で勝ち抜くために(1/2 ページ)

パナソニックは、創業100周年を記念して全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」で行われたセミナーで、同社のAI活用戦略について説明した。

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 パナソニックは、創業100周年を記念した全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日、東京国際フォーラム)で、同社の最新技術や事業戦略を紹介するセミナーを多数開催している。11月1日には、同社 ビジネスイノベーション本部 AIソリューションセンター所長を務める九津見洋氏が、「パナソニックのAIによる変革と挑戦」と題したセミナーで、パナソニックのAI活用戦略を語った。


パナソニック ビジネスイノベーション本部 AIソリューションセンター所長を務める九津見洋氏

 九津見氏は、「Society 3.0の工業社会までは、当社は成功を収めてきたが、Society 4.0の情報社会においては苦戦を強いられてきた」と述べる。

 「来たるSociety 5.0は、あらゆるモノがつながることで価値が生み出される超スマート社会だ。CyberとPhysicalが融合する“Cyber-Physical”時代の本格的な到来でもある。われわれは、Society 3.0という、極めてPhysicalな時代に勝ち残ってきた企業だ。Society 5.0の時代では、Physicalを得意とするパナソニックが、Cyber、つまりAI(人工知能)の部分をどう活用するかが勝負どころとなる」(九津見氏)

 ただし同社はITカンパニーを目指すわけではないと、九津見氏は強調する。「あくまでもPhysicalに立脚したメーカーとしてIoT(モノのインターネット)カンパニーを目指す」(同氏)

AIはあくまでも“道具”

 九津見氏は、AIを活用して何らかのソリューションを生み出すためには、「計算資源(コンピューティング)」「AIのアルゴリズム」「データ」「ドメイン知識(領域知識)」の4つが必要になると述べる。このうち、パナソニックが注力するのは「データ」と「ドメイン知識」だ。非常に進化が激しいコンピューティングとアルゴリズムについては、パナソニックは追わず、これら2つの技術を徹底的に活用する立場を貫く。

 一方で、強みを持つデータとドメイン知識については存分に活用する。

 データについては、100カ国以上で提供されているIoT向けのテクノロジープラットフォーム「Panasonic Digital Platform(パナソニックデジタルプラットフォーム)」によって、日常生活に関連するデータを中心に、既に10億人以上から、500億件に近い膨大な量のデータが集まりつつあるという。

 ドメイン知識は、Society 3.0の時代から蓄積してきたパナソニックの強みだ。九津見氏は、「AIは“道具”だと考えている。よい“大工”として、知識を生かしながら道具の目利きをし、それらを活用して、顧客の望む“家を建てる”、つまりソリューションを提供することがパナソニックの役目である」と語った。

左=AI活用におけるパナソニックの立ち位置/右=AIを、道具として存分に使いこなす(クリックで拡大)

 九津見氏は、優れたAI技術を手に入れる方法として、最先端のAI技術を持っている企業とのM&Aやパートナーシップを挙げた。一例として、パナソニックは2017年10月に米国のデータ解析企業Arimo(アリモ)の買収を発表。2018年9月には、AI技術を手掛ける米国のBrainofTに出資し、スマートホーム開発で連携を開始したことを発表している。


BrainofTが持つ、行動解析の技術のデモ。センサーで集めたデータから、家の住人が何をしているかがリアルタイムで分かる。画面手前のPCには、「sink_counter_activity(キッチンのシンクで作業をしている)」と表示されている(クリックで拡大)

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