AMD、7nmチップでIntelとNVIDIAに真っ向勝負:返り咲きを果たす?(2/2 ページ)
AMDは、利益が見込めるデータセンターをターゲットとする、7nmプロセスのCPUとGPUを発表した。Intelの14nmプロセス適用プロセッサ「Xeon」とNVIDIAの12nmプロセス適用「Volta」に匹敵する性能を実現するとしている。
NVIDIAにも勝負を挑む
AMDは、NVIDIAに対抗するGPUも発表した。AMDのグラフィックスグループを率いるDavid Wang氏は、「この業界には競争が必要だ」と語る。Intelは、2020年にリリース予定のGPUの開発に向けてAMDからRaj Koduri氏を引き抜いた。その後継者となったのが、AMDの元エグゼクティブだったWang氏である。
AMDの7nm GPUであるVega「AMD Radeon Instinct MI60(以下、MI60)」は、132億個のトランジスタを搭載する。新しいEPYCと同様に、前世代の14nmチップに比べて性能が25%以上向上したという。MI60は、64個のコンピューティングユニット(4096のストリームプロセッサ)、最大32GバイトのHBM(High Bandwidth Memory)2メモリを搭載し、高速バスインタフェースPCI Express 4.0(PCIe Gen4)をサポートする。
同社は、ライバルのNVIDIAとは違うAI手法を採っている。NVIDIAは、GPUにMAC(積和演算)ユニットを搭載している。これに対し、AMDは、コンピューティングユニットで4ビットと8ビットの整数演算から16ビットと32ビット、64ビットの浮動小数点演算までさまざまな演算に対応する。AMDのコンピューティングユニットは、高精度の32ビット積算器を採用している。
AMDでシニアプロダクトマネジャーを務めるEvan Groenke氏は、「FP16(16ビット浮動小数点)専用のものではなく、柔軟性に富んだアクセラレーターが必要だった」と述べている。
こうした手法によってAMDは、ダイ面積がVoltaの半分以下(Voltaが800mm2以上であるのに対しVegaは331mm2)で、最適化前の状態でTesla V100に比べて7%性能がよいチップを実現した。Groenke氏は、「機械学習の能力を向上させるために大型の専用シリコンブロックは必要ない」と述べている。
具体的には、Vegaはトレーニングで1秒当たり29.5T(テラ)のFP16演算を実行できるという。推論ジョブでは、8ビットの整数の場合は59TOPS(Tera Operations Per Second)、4ビットの整数タスクの場合は118TOPSを処理できるという。
この他、AMDはハードウェア仮想化をチップに追加した。これによって、1つの7nm Vegaが最大16台の仮想マシンをサポート、もしくは1台の仮想マシンを8台以上のGPUに分割することが可能になる。
Wang氏は、「これは、競合と差別化する機能の一環で、無償で提供する。GPUに付属する機能で、ライセンスは必要ない」と述べている。
AMDは、2018年末までにMI60カードの初期バージョンを出荷する予定だ。さらに2019年4月までに、最大16GバイトのHBM2をサポートしMI60と比べると性能が約10%低い「MI50」を出荷するという。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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