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インタビュー

アンテナを高く張れ! 半導体製造装置材料業界がスーパーサイクルを勝ち抜くために野村証券和田木哲哉氏×SEMIジャパン浜島氏(3/5 ページ)

野村証券アナリストの和田木哲哉氏と、半導体製造装置/材料の業界団体SEMIの日本代表(SEMIジャパン社長)を務める浜島雅彦氏に、これからの半導体市況、そして、半導体製造装置/材料業界に求められることなどを聞いた。

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IoTの時代と半導体製造装置/材料業界

EE Times Japan 広義のIoTが牽引するであろう新たなスーパーサイクルに向けて、半導体製造装置/材料業界が備えていかなければならないことは何でしょうか?

和田木氏 400兆円市場になるとされるIoT市場の下に、数十兆円規模の半導体デバイス市場が、そしてその下に数兆円規模の半導体製造装置/材料市場が付き従うことになります。

 IoT400兆円市場では、どういったソリューションを提供できるかが、競争のカギを握ります。そこに付き従う半導体製造装置/材料業界は、IoTのソリューションプロバイダー、社会インフラ事業者に寄り添っていくことがより重要になってきます。具体的には、さまざまなIoTソリューションに対し、提案型の製造ソリューションや部材/モジュールの提供を行うことが必要です。座って待っているだけでは、いち部材屋になってしまい、IoT、スーパーサイクルの流れに乗じることはできないでしょう。

浜島氏 これまで以上に、製造装置/材料メーカーと半導体デバイスメーカーの距離が狭める必要があり、さらに、製造装置/材料メーカーは、デバイスメーカー以外にも関わりを持つ領域を広げていく必要があると考えている。業界団体であるSEMIとしても、さまざまな分野、領域と交流できる場を提供することが使命の一つだと感じています。

和田木氏 その通りで、製造装置/材料メーカーはアンテナを高くして、さまざまな情報を得る必要があります。待っているだけではダメ。いつも主張しているのですが、異分野とのコミュニケーションが図れるSEMICON JAPANなどを有効活用すべきです。

浜島氏 そうした期待に応えるべく、近年は、装置/材料業界だけなく、いろいろな仕掛けを通じて、自動車やIoTや医療などの方も呼んで、いろいろな交流ができるようにしてきました。2018年12月のSEMICON JAPANでも、一層、そうした企画を強化しています。


SEMICON JAPAN 2018で実施する主な基調講演(SuperTHEATER)

 例えば、オープニングキーノートは、Preferred Networksの西川徹社長兼CEO、ライゾマティクスの石橋素取締役という、業界の枠を超えたテクノロジーリーダーお二方に登壇いただきます。また、新たなイベントとして、会期2日目(2018年12月13日)には、自動車業界にフォーカスを当てたトランスポーテーションサミットを実施します。トランスポーテーションサミットでは、自動車業界のキーマンによる講演だけでなく、予約/招待制ではありますが、装置/材料業界と自動車業界の交流を目的にした昼食会も実施します。これ以外にもさまざまなネットワーキングイベントを用意していますので、ぜひ、活用いただきたいと思います。

IoTを見据えていけば、見えてくるはず

EE Times Japan 製造装置/材料メーカーは、アンテナを高く張りながら、どのような対応を行っていくべきとお考えですか?

和田木氏 アンテナを高く張って得る情報から、製造装置/材料メーカーがやるべきことは、おのずと見えてくるでしょう。

 例えば、IoTであれば、先端プロセスデバイスは必要なく、レガシーデバイスで十分であり、レガシーデバイスに向けた装置、材料が必要になります。実際、中古装置市場は、引き合いが強すぎて、市場自体が世の中から消えてしまったような状態です。この状況を見越して、8インチウエハー対応装置などレガシーデバイス向け装置の復刻版を投入した装置メーカーは今、調子が良くなっています。

 このように、装置メーカーとしてIoTを見据えていけば、組むべき相手や、どういった技術が必要になるかなど、いろいろなものが見えてくるはずです。

浜島氏 IoTのアプリケーションメーカーは差別化要素を、装置、材料に求めるはずだと考えています。アプリケーションメーカーの多様なニーズにどう対応していくかもカギになるでしょう。そのために、装置/材料メーカーは、アンテナを張って、アプリケーションメーカーと会話をして、開発投資をどっちの方向に向けていくかを判断しなければなりません。方向性をいち早くキャッチして、経営に落とし込む速度が速い装置材料メーカーが強くなっていくでしょう。

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