独自技術と相性のよい市場を探す、トレックスの戦略:「全ての領域は追わない」(1/2 ページ)
トレックス・セミコンダクターは「electronica 2018」(2018年11月13〜16日、ドイツ・ミュンヘン)で、コイル一体型のDC-DCコンバーターなど同社の特徴的な製品を展示した。
トレックス・セミコンダクター(以下、トレックス)は「electronica 2018」(2018年11月13〜16日、ドイツ・ミュンヘン)で、コイル一体型のDC-DCコンバーターなど同社の特徴的な製品を展示した。
欧州では長年、コンシューマーをターゲットにしてきたトレックスだが、ここ5〜6年は少しずつ産業向けにもシフトしてきた。さらに、前回の「electronica 2016」では、トレックスとしては初めての車載向け製品となる電源IC「XDシリーズ」を発表した(関連記事:「欧州車載市場に切り込むトレックスの勝算」)。
トレックスの英国法人Torex Semiconductor EuropeでManaging Directorを務めるGareth Henson氏は「われわれの車載ビジネスは順調な滑り出しを見せている」と語る。
Henson氏は、欧州での車載ビジネスについて「2年前に参入した時、われわれは本当に“新参者”だった。顧客のことも、車載市場のこともよく知らなかった。そこで、ディストリビューターを訪問し、トレックスの技術や製品を紹介するところから始めた。小型で高効率、低消費電力という当社の技術的利点を粘り強く説明した。ディストリビューターにとって、“目新しいポイント”は何かということを考えた」と語る。「その結果、2年前にはわれわれを知らなかった顧客とも交渉を始めることができている。この2年間、行ってきたことは正しかったと確信している」(Henson氏)
electronica 2016では、車載向けに「ウェッタブル・フランク」という技術を用いたパッケージを採用した製品を紹介していた。ウェッタブル・フランクは、端子の部分に特殊な加工を施し、パッケージを基板に実装した時に、きちんとはんだ付けされていることを目視でも確認しやすくする技術だ。同製品シリーズの開発も順調に進み、今回のelectronicaでは、最新製品(第3世代)となる「XDL601/602」を紹介していた。入力電圧が5.5Vで、サイズは3.6×2.5mm。AEC-Q100に準拠している。
「自動車は開発サイクルが長いので、売り上げに反映されるのも少し時間がかかるが、よい進展がみられる。車載関連での売り上げがきちんと立ってくるのは、恐らく2020年以降になるだろう」(Henson氏)
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