車載やeスポーツはOLEDに期待、開発が加速:JOLEDが試作品を展示(1/2 ページ)
JOLEDは「第28回 液晶・有機EL・センサ技術展(ファインテック ジャパン)」(2018年12月5〜7日、幕張メッセ)で、車載向けやeスポーツ向けの有機ELディスプレイ(OLED)などを展示した。
JOLEDは「第28回 液晶・有機EL・センサ技術展(ファインテック ジャパン)」(2018年12月5〜7日、幕張メッセ)で、車載向けやeスポーツ向けの有機ELディスプレイ(OLED)などを展示した。
さらに、JOLEDの技術開発本部 第2開発部で部長を務める田中正信氏は、「印刷有機ELディスプレイの現状と展望」と題した技術セミナーに登壇し、OLEDの技術動向と展望について解説した。
田中氏は、LCD(液晶ディスプレイ)について、「基板サイズや製造コスト、パネル寿命などにおいて成熟した技術」とし、「OLEDの長所は、高いコントラストや色再現性、高速な応答速度、温度に対する耐性など。こうした良さを生かしつつ、LCDに追い付いていない部分は努力を続けなくてはいけない」と述べる。
フレキシブルOLEDへの期待
OLEDの良さが生きるのが、グラフィックス、医療、ゲーム、車載などの分野だと田中氏は続ける。実際、ここ1〜2年でディスプレイメーカー各社から、そうした特長を生かしたOLEDが提案されている。例えば、折り曲げて持ち運べるフォルダブル、巻けるローラブル、フレキシブルな透明OLEDといった具合だ。田中氏は、「OLEDでは、バックライト不要という特長から、フレキシブルを含め形状変化できるディスプレイの実現が期待されている。最近では、ストレッチャブルなディスプレイも提案され始めた」と語る。
一方でフレキシブルOLEDには課題もある。田中氏は、水分バリア性能や曲げ耐性を備えた保護層の開発や、ダメージを与えない剥離プロセスの開発、性能評価手法の確立という、3つの課題を挙げ、プロトタイプの開発を通じて、商品レベルの性能を実現するための改善に取り組んでいると述べた。
ディスプレイのサイズも、開発品や試作品ながら小型から中型、大型まで出そろっている。パナソニックの55型/4K、CSOT(華星光電)の30.44型、AUO(AU Optronics)の65型などがその一例だ。
製造プロセスについては、100ppiを超える画素密度を実現できる技術が主流になってきていると田中氏は述べる。CSOTの30.44型は144ppiを実現。JOLEDは、350ppiのサンプルを開発している。JOLEDは、蒸着ではなく印刷方式を採用しているが、「印刷方式でも高精細化は可能だと考えている」と田中氏は強調した。有機EL材料についても、赤、緑、そして最も難しいとされる青のいずれについても、寿命や発光効率が向上していると述べた。
OLEDの市場動向については、LCDについては成長が鈍化するが、OLEDは年平均成長率で10%を超える成長が予測されているとする。「スマートフォンとTVが市場の成長のけん引役となり、小型ディスプレイと大型ディスプレイに二分される形で市場が形成されていくだろう」(田中氏)
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