「所有」からの脱却、製造業でもサブスクリプションが進む:エンジニアは考え方の変更も必要(1/2 ページ)
現在、ビジネスモデルの一つとして注目されているものに「サブスクリプションモデル」がある。モノを購入して「所有する」のではなく、モノあるいはサービスを定額課金などで「利用する」方式だ。サブスクリプションモデルを実現するためのSaaS(Software as a Service)アプリケーションを開発しているのが米国のZuora(ズオラ)である。
サブスクリプションモデルへの移行
現在、ビジネスモデルの一つとして注目されているものに「サブスクリプションモデル」がある。モノを購入して「所有する」のではなく、モノあるいはサービスを定額課金などで「利用する」方式だ。
サブスクリプションモデルを実現するためのSaaS(Software as a Service)アプリケーションを開発しているのが米国のZuora(ズオラ)である。同社は10年以上、サブスクリプションモデルのためのプラットフォームを手掛けてきた。Zuoraの創設者でCEOを務めるTien Tzuo(ティエン・ツォ)氏は、「現在はハイテク企業を含め多くの企業が“モノ”を売っているが、サブスクリプションモデルへと移行しつつある時代が訪れている」と語る。
サブスクリプションモデルは、エレクトロニクス業界にも無関係ではない。むしろ、家電や自動車などをはじめ、サブスクリプションモデルに向けて大きく舵を切り始めているところだ。例えば、トヨタ自動車は自動車、パナソニックは家電について定額利用サービスを開始すると発表した。Tzuo氏は、「サブスクリプションモデルは、音楽や映画などのメディア系でまず普及したが、急速に導入が伸び始めているのが製造業の分野だ」と述べる。
さらに、Tzuo氏によれば、日本はサブスクリプションモデルの導入において、非常にポテンシャルが高い国だという。「日本人は、利便性やコストの節約、所有するモノを減らせるという観点から、サブスクリプションモデルを好むというデータが出ている。Zuoraが行った調査では、73%の日本人(成人)は同じ成果であれば製品やサービスを”所有”するよりも、“利用”することを望んでいる」(Tzuo氏)
サブスクリプションモデルへの移行は、小売業、ハイテク、建設、教育、医療など多岐にわたる分野で始まっているとTzuo氏は述べる。
日本での事例を挙げると、例えばコマツの「スマートコンストラクション」はサブスクリプションモデルの一つだという。コマツのスマートコンストラクションは、インターネットにつながるICT建機やドローンなどを使い、調査測量から施工、保守まで一気通貫のプラットフォームとして提供するビジネスだ。他にも、リコーが複合機だけでなく、クラウドベースのドキュメント管理サービスも提供しているが、これもサブスクリプションの一例だと、Zuora氏は述べる。
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