「所有」からの脱却、製造業でもサブスクリプションが進む:エンジニアは考え方の変更も必要(2/2 ページ)
現在、ビジネスモデルの一つとして注目されているものに「サブスクリプションモデル」がある。モノを購入して「所有する」のではなく、モノあるいはサービスを定額課金などで「利用する」方式だ。サブスクリプションモデルを実現するためのSaaS(Software as a Service)アプリケーションを開発しているのが米国のZuora(ズオラ)である。
継続的な価値を生み出せる
Tzuo氏は、サブスクリプションモデルの導入は、ビジネスの成長を加速する原動力になると強調する。これまでのように、最終製品を販売して終わりではなく、それに付随するサービスを提供し続けることで、継続的な収益を見込めるようになるからだ。「製品を販売するよりも、得られる利益の予測もしやすい」とTzuo氏は述べる。
「製品を顧客に販売して終わり」という既存のビジネスモデル(図の左)とは異なる、新しい考え方が必要になるとTzuo氏は強調する。サブスクリプションモデルでは、継続的な収益を見込めるようになる 出典:Zuora(クリックで拡大)
「ユーザーは『モノを所有する必要は必ずしもない』という考え方に変わってきており、モノを売るのが難しい時代になっている。それは、『iPhone』の販売台数を見ても分かるだろう。Appleでは既に、デジタルサービスの売上高が常に全体の売上高の一定以上を占めている。トヨタ自動車も、サブスクリプションモデルが新しい収益源になると気付いたからこそ、定額利用サービスを発表したのだろう」(同氏)
ビジネスについての考え方を変える必要がある
ただし、サブスクリプションモデルでは、ビジネスに対する考え方を抜本的に変える必要があるとTzuo氏は指摘する。価格の付け方一つ取っても、一つの製品や部品に付きいくら、という考え方ではなく、「利用1回当たり」「使用時間当たり」「(クラウドのように)容量当たり」いくらに設定するのか、という考え方になるからだ。「製品やサービスの設計開発も、『ヒット商品を開発する』というよりも、ユーザーからフィードバックをもらってどんどんアップデートしていくという、『永遠のβ版』を作るようなイメージになる」(Tzuo氏)。こうした、これまでとは異なる考え方も、経営者だけでなくエンジニアも意識する必要があると同氏は述べる。
同氏は、「メーカーは、ユーザーにとってモノやサービスが“所有するもの”から”利用するもの”に変わりつつあることを意識する必要がある。モノづくりを中心に発展してきた日本の企業は、サブスクリプションの時代でけん引役に必ずなれるはずだと確信している」と強調した。
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