外国人就労拡大で際立つ日本の「ブラック国家ぶり」:世界を「数字」で回してみよう(56) 働き方改革(15)(2/10 ページ)
ここ最近、連日のように報じられている「外国人労働者の受け入れ拡大」。メディアで報じられている課題はともかく、この外国人就労拡大で際立っているのが、日本の「ブラック国家ぶり」です。このブラックぶりは、驚きを通り越して、むしろすがすがしいほどなのです。
外国人の活用
こんにちは、江端智一です。
今回は、前回に引き続き、政府が主導する「働き方改革」の項目の一つである、「外国人活用」に関して、お話していきたいと思います。
「活用」と言えば、以前「女性活用(政府の白書に記載)」という言葉を使ったコラムを執筆した時に、「女性は機械じゃない」と批判をしてきた人がいました。私としては『内閣府の資料担当者に修正要求を出してくれ』と言いたかったですが、気持ちは理解できました。
私だって、「江端の活用」と言われたら、確かに不愉快です。「江端の運用」「江端の適用」「江端の応用」「江端の再利用(リサイクル)」―― どれもこれも、不愉快です(今、かつての、不愉快な上司を思い出しています)
ですが、今回は、あえて「外国人活用」を使います ―― なぜなら、今回のコラム、その言葉に相応わしい、実に、不遜で、無礼で、不愉快な内容になるからです。
加えて、この「働き方改革」シリーズ第1回で、私は、以下のような方向性を掲げていたのですが、今回の調査で、これらの観点が、全くの的外れであったことも併せて説明していきたいと思います。
日本における「外国人」とは
最初に、「外国人」について整理しておきたいと思います。
日本国における「外国人」とは、『日本の国籍を有しない者』―― これだけです。
逆に言えば「日本人」とは、『日本の国籍を有する者』です。日本の国籍は、出生の時に父または母が日本国民である場合、それが不明であった時でも日本で生まれた場合、帰化した場合に取得できます(国籍法)。思想、宗教、外見、日本国内の滞在期間、日本語能力などは一切関係ありません*)。
*)「日本人」については、大相撲の優勝力士やノーベル賞受賞者が出る度に、話題になっています。興味のある人は、検索してみてください。ちなみに、「300日問題」の戸籍の話とは無関係です(参考記事(外部サイトに移行します))。
つまり、生まれた時に外国籍を持っている人は、日本国において帰化の手続をしない限り永久に「外国人」です。日本人と結婚しようとも、日本から一度も出国しなくとも、外見が明らかに日本人であろうとも、関係ありません。
そして、よく間違えられるのが「帰化」と「永住者」の違いです。
帰化とは、日本人になることです。いったん、帰化が認められれば、国内で重大な犯罪(例:国家転覆のテロ事件)を犯そうとも、それを取り消すこと ―― 『今日から、お前は日本人ではなくなった』などとすることはできません*)。
*)ただし、違法行為(虚偽など)による申請を行った場合には、帰化の発生日にさかのぼって、その帰化が「なかったこと (×却下、×取消、×無効) 」になります。
それに対して永住者の身分は、在留期間の制限なく、日本に住み続けることができることです。ただし、「学校(国家)のやり方に口を出すな(参政権の制限)」「素行が悪ければ退学(出国)してもらう(素行善良の義務)」という誓約書を、学校に強制的に提出させられた生徒のような身分です。
そして、日本国に居所を持つ全ての外国人は、日本国の滞在に関して、永住権を持った外国人と同等、あるいはそれ以上の厳しい条件が課せられています。
そして、我が国においては、帰化であれ永住者であれ、簡単には認めてもらえません。素行善良、十分に長い日本国の滞在と、日本語のリテラシーが必要とされます。
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