Intelの創業8年目(1975年):ノイス氏からムーア氏へ、経営トップが初めて交代:福田昭のデバイス通信(182) Intelの「始まり」を振り返る(15)(1/2 ページ)
引き続き、1975年に焦点を当てる。今回は、1975年にIntelの社長を始めとする経営幹部の顔ぶれがかなり変化したことと、その内容を説明する。
共同創業者のノイス氏が創業以来の初代CEO
Intelの公式文書である「年次報告書(アニュアルレポート)」をベースに、Intelの創業期の活動を創業年(1968年)から1年ずつ記述する連載の第15回である。前々回からは、創業8年目である1975年の業績や事業活動などを解説している。前々回は1975年の業績を、前回は1975年5月にマレーシアのペナン工場で発生した火災について報告した。
今回は、1975年にIntelの社長を始めとする経営幹部の顔ぶれがかなり変化したことと、その内容を説明する。経営幹部の変更とはいっても、Intelの業績が不調だったことによるテコ入れではなく、あらかじめ予定されていたものだ。人事異動の主体は降格ではなく、昇格である。経営幹部の異動は1974年12月に予告されており、その概要は1974年の年次報告書(アニュアルレポート)にも記載されている。実際に経営幹部の変更がなされたのは、1975年4月からである。
Intelの経営トップである社長は1968年7月の創業以降ずっと、共同創業者の一人であるRobert N. Noyce(ロバート・ノイス)氏が務めてきた。そしてもう一人の共同創業者であるGordon E. Moore(ゴードン・ムーア)氏は、ナンバー2の地位である最上級副社長(エグゼクティブ・バイスプレジデント)を担ってきた。また、Intelの取締役会(Board of Directors)では、Intelの創業を資金面で支援したベンチャー・キャピタリストのArthur Rock(アーサー・ロック)氏が、これも創業以降ずっと、会長を務めてきた。
1974年の年次報告書(アニュアルレポート)では、1975年に経営幹部と取締役会のメンバーに異動があることを予告した。その概要は、以下のようなものである。
まず、最高経営責任者(CEO)が初めて交代する。最上級副社長(エグゼクティブ・バイスプレジデント)を務めてきたMoore氏が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格する。社長のNoyce氏は、取締役会の会長となる。そして取締役会の会長を務めていたRock氏は、取締役会の副会長に退く。また最上級副社長(エグゼクティブ・バイスプレジデント)には、執行担当副社長を務めていたAndrew S. Grove(アンドリュー・グローブ)氏が昇格する。
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