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デジタル時代の敬老精神 〜シニア活用の心構えとは世界を「数字」で回してみよう(57) 働き方改革(16)(10/11 ページ)

今回は「シニアの活用」についてです。やたらとずっと働きたがるシニアに働いてもらうことは、労働力の点から見ればよい施策のはずです。ただし、そこにはどうしても乗り越えなくてはならない壁が存在します。シニアの「ITリテラシー」です。

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シニアはメールを「使えない」

 義務教育プロセスで、キーボードを使った文字入力を教えてもらえなかった人に、「努力でメールやパソコンを使えるようになれ」と言うことが暴言であることは、私もよく分かっています。

 しかし、シニアの人でも、メール、スマホ、パソコンを使える人は、結構な人数います。使えない人と使える人を「努力」だけで分けられるのか、というと、違和感も覚えます。

 で、いろいろな人からお話を聴いた結果、ある種の傾向が分かりましたので、江端仮説として、以下に記載しておきます。

 つまり、大前提として、「シニアはメールを使えない」と決めつけてしまって良く、まれに上記に示したような例外発生要件が生じたシニアは、運良くメールが使えるようになる(こともある)と考えるのが妥当と思います。

どんな「シニア」になるべきなのか

 現在の世界は、新しい技術(特にIT技術)がどんどん入ってきて、それがあっという間に社会システムに組み込まれています。それは、シニアが長年の間培ってきた知識と経験を、簡単にゴミくずと化してしまう、残酷な世界です。

 故に、この世界では、「無条件に年長者に敬意を払う」という、従来型の敬老精神は、ものすごい勢いで消滅しつつあります。

 私は、これからの敬老精神の対象者は、大きく変化していると思っています。

 それは ――

目下の生意気で不愉快な人間に対しても、頭を下げ、分からないことに対して、正直に「分からない」と言い、最大の敬意を払い、謙虚さを持って教えを請うことができるシニア

―― です。

 例えば、今の子供たちは、生まれた時からスマートフォンやインターネットに親しんでいる「デジタルネイティブ世代」です。そして、シニアは、デジタルツールの使い方を教わるために、小学生に深々と頭を下げることができるか ―― これが、今後のシニアの働き方「シニア活用」の成否を決定付けることになります。

 私たちは、このような誠実で実直なシニアに対して、決して冷たくあしらうことができません。逆に、このようなシニアには、最大級の尊敬と敬意を払い、持ちえる知識の全てを伝授したいと思います。

 私たちだって、決して、簡単にスマホやパソコンを使えるようになった訳ではありません。それなりに悔しい思いや、腹立たしい思いをして、ゼーゼー言いつつ、この世界の変化に追い付きながら生きているのです。

 だから、「最近の若い人は……」の一言で片付けるシニアを、心底不快に思っています*)

*)そもそも、私(江端)はシニアなんだが。



 まとめます。

 これからのシニアは、軽蔑されるシニアと、敬意を払われるシニアの2つに大別されるようになります。

(1)「メールが使えない/使わない」と平然と言い放つシニアは、軽蔑され、
(2)「何度も同じことを聞いてすみません。それでも教えて下さい」と、誰に対しても、きちんと言うことができるシニアは、尊敬される

 これが、これからの「敬老精神」です。

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