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「SiCでシェア30%獲得を目指す」 STが開発を加速サプライチェーンを着実に構築(1/2 ページ)

STMicroelectronicsは2019年3月、イタリアのカタニア(Catania)にある同社工場において、「当社は今後、戦略および売上高における重要な要素として、SiC(炭化ケイ素)に大きく賭けていく考えだ」との考えを明らかにした。

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SiC市場でシェア30%獲得を目指す

 STMicroelectronicsは2019年3月、イタリアのカタニア(Catania)にある同社工場において、「当社は今後、戦略および売上高における重要な要素として、SiC(炭化ケイ素)に大きく賭けていく考えだ」との考えを明らかにした。同社のCEOを務めるJean-Marc Chery氏は最近、四半期および年間業績の発表の場では必ず、「SiC市場は2025年までに、37億米ドル規模に達すると予測されている。当社としては、同市場全体のシェア30%を獲得したい考えだ」と主張してきた。

 SiCはワイドバンドギャップ技術の一つであり、自動車の電動化に必要とされる高い性能と効率を実現していく上で、開発が進められているところだ。

 だが、ベンダーの数が限られているため、SiCウエハーの供給量が世界的に不足するなど、供給側やエコシステムにおける問題が生じていることから、STMicroelectronicsは、サプライチェーン全体を管理する方向へと戦略的な動きを見せている。例えば、同社は最近、Creeとの間で、Wolfspeedの150mm SiCベアとエピタキシャルウエハーの供給を確保すべく、2億5000万米ドル規模の契約に合意したところだ。またSTMicroelectronicsは、スウェーデンのSiCウエハーメーカーであるNorstelの株式の55%を取得しており、最終的には残りの45%も全て取得する予定だという。


STMicroelectronicsのSiCウエハー 出典:STMicroelectronics

 STMicroelectronicsのオートモーティブ ディスクリートグループ担当プレジデントを務めるMarco Monti氏は、カタニア工場で、「今後30年間で、パワー半導体市場全体の50%がSiCベースになるだろう。当社は、現在はインゴットや基板の供給をアウトソーシングしている(ウエハー処理は、カタニア工場で行っている)が、サプライチェーンの管理を一層強化し、内製化していきたいと考えている」と述べる。

 またMonti氏は、「Norstelをサプライチェーンに統合する計画を立てているが、この件についてはまだ発表できる段階にない。2019年5月に開催予定の投資家向け説明会『Capital Markets Day』において、詳細を明らかにする予定だ。Creeとの協業も、SiCデバイスの開発、製造を垂直統合していく上で非常に重要だ。STMicroelectronicsは現在、6インチSiCウエハーを使用しているが、Norstelや国内の研究機関との連携により、2025年ごろまでに8インチウエハーへの移行を実現したい考えだ」と述べている。

 STMicroelectronicsは2018年、SiC関連の売上高で1億米ドルを達成。2019年には2億米ドルを、2025年までには10億米ドルを目指す。これらの目標を達成するためには、サプライチェーンを確実に管理することにより、需要に応えて供給できるようにする必要がある。Chery氏は、「当社は、IoT(モノのインターネット)とスマートドライビングに注力していく考えだ。そのためには、将来的に成長を遂げていく上で、エネルギー管理とパワーマネジメントが重要な要素となるだろう」と述べている。

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